伊藤陽子さんの履歴書。

2012/08/16


伊藤陽子さんの履歴書。

名前
伊藤陽子さん
性別
女性
年代
28才(インタービュー当時)
属性
保育士
参加国
アメリカ、日本、ドイツ

満足度100%の数字に込めた思いは?

もう100%でしょう (笑)。どれもこれも自分の中でいっぱいいっぱいだったけど、その意味でも100%かも。キャンプが終わるころには涙がこみ上げるほど感動や充実感があって、得るものが大きかった。もちろん大変なこともたくさんあったし、さみしい思いもしたよ。高根の国際ワークキャンプでメンバーが楽しそうにしているときに、リーダーとしていろいろ準備があったり。でも役場の人と話せてより深く地元のことを知ることができ、今までたくさんの感動をもらってきたワークキャンプを作る側のサポートとして関われたことがとても嬉しく感じた。気持ちを前向きにしていたら、何でも楽しかったよ。しかもメンバーもよかったな。みんな、トラブルも自分たちで解決しようとしたり、英語が話せなくてもジェスチャーを使って話そうとしたりみんなで協力して、一体感がでてきたり。あとは地元の人がめちゃめちゃ働いている、自分の仕事をした後で、夜遅くまで役場に残って仕事をしている姿を見ていたから、その姿に感動して、自分も頑張ろうって気持ちになれた。体力的にはきつかったけれど、色んな感動をもらえたからすごく満足したな。どれもよかったよ。

活動のやりがい度100%の数字に込めた思いは?

どの国際ワークキャンプでも、行ったらその環境の中で自分が出来る限りをやっていた気がする。だから、どこまでできたか形に見えなくても、なんだろ、気持ちで一生懸命取り組んでいたかな。道が出来たとか、火祭がうまくいったとか、もちろん嬉しかったけど、成果の質や量以上のものがあったんだと思う。言葉じゃうまく言えないな。成果や結果だけじゃなくって、それまでの準備段階からはじまって、実際その地に行けて、ずっと会いたいなと思っていたメンバーにあえて、本当にその地で働けてっていうだけでも嬉しくて。初めて会った人たちとそこからスタートして試行錯誤して創り上げていくのが楽しかったから、やりがい度100%なのかな。

あと、帰ってきてすぐより、日が経つにつれてだんだんと100%に近づいていった。あの経験はすごく貴重だったんだとか、あの経験が今の自分の糧になっているんだと思えるようになって。振り返ってみて、人生の中であの時はよくやったなって思うもの。

-8つの国際ワークキャンプと1つの中長期ボランティア参加後に、輸出オペレーターとして働きながら、週末を使ってNICEの活動にも携わっていた伊藤さん。25歳で保育の道へ入ろうと思ったのには、何か考えに変化があったのでしょうか。
考えは変わってなかったの。アメリカ留学中の夏休みに参加した国際ワークキャンプに魅了され、帰国前にも!と参加したのがきっかけで、その時から自然の中で子ども達と何かしたいって気持ちを持っていて。でももやもやしていたの。英会話教室も英会話を教えたいとか、子どもと関わりたいというよりも、英語のスキルが使えるし、歌とか絵本とかが好きだからってことで勤めたの。でもやっぱり自然が忘れられなかった。狭い部屋で英語を教えるよりかは、自然の中でのびのびと子ども達と関わりたいと思っていた。じゃあ、それを仕事にするためにはどうしたらいいんだろうって。これといって答えがでてこなかったから、輸出オペレーターの仕事に就いたの。事務仕事だった。制服に着替えて、おはようございますから始まって、みんなで体操して、パソコンに向き合う。会社の人にワークキャンプの話をしても、「え?」という反応で通じないことにちょっと悲しくなっていたな。今は一般社会っていうのかな、それを学べたことは大きかったと思えるよ。でもそのときは気持ちとのギャップがあって、すごく苦しかった。仕事が終わって、家に帰ってから、ワークキャンプの写真を見て涙したりもしたな。仕事しながらも、気持ちはここにあらずって感じが自分の中でも嫌で、でも気持ちの整理がつかないまま日々の仕事には取り組むしかなくて。プライベートでワークキャンプや他のボランティア活動に参加するってスタイルを2年半続けていました。

久しぶりに中長期ワークキャンプの事後研修にも参加して刺激をもらったり、自分の描いていることを表現してみたり、仲間と話をしたり、少しずつ思いを形にしていきたいって思うようになった。そしたら、今でも鮮明に覚えているんだけど、11月のある日、この日はすごく仕事が暇で、パソコンに向かっていたら突然頭の中に、自然大好きな仲間と自分が子どもたちと一緒にキャンプしている映像が流れてきたの。それで、あっ、やっぱりと思って。その後に通帳記入しに行ったら、お金は充分貯まっていて。これからは地方や田舎にも行きたいって思っていたから、専門職である保育の資格をとったら、どんな場所でも森に関わりながら仕事ができるかなっと思って、それで学校に入ることにしたの。ちょうど同じタイミングで、契約社員から正社員にならないかって話が課長からあったので、私からもお話が…ということで、辞めることを伝えたの。迷いはなかったかな。もう心は決まっていたの。

 イメージが固まると動ける。

 中長期ボランティアから帰ってきたときに、もっと専門的な事を学びだいと思ったんだけど、お金なかったし、食べていくことを考えたら、お金借りて学校へ行く事は違うなと思ってその時は踏み出せなかった。まだ迷いもあったんだと思う。でもこのイメージが降りてきた時は、いけるじゃーーん、お金もたまったじゃーーんって。気持ちはすでに動いていたから、準備をしていけばいいんだ!って。保育の専門学校へ行きながら、アルバイトをしてという生活をしていました。そして今は公設民営された、自宅近くの保育園で働いています。
 

いつかは森のようちえんみたいな場所で働きたいですか?


そうですね。ドイツの国際ワークキャンプに参加した時、受入団体の娘さんが森のようちえんっぽい、森の中にあるログハウスで、庭の切り株に座って絵本を読んだり、秘密基地で遊んだりする保育園に通っていたの。ワークの前に遊びに行って、そこがすごく魅力的で。こういう場所で働きたいなって思っていたの。

今は一般的な保育園で働いているけど、そこで学ぶこともたくさんあります。私は「子ども・環境」というテーマから保育の世界に入ったけど、保育はすごく奥が深いって感じています。子どもに自然と触れ合う機会を提供したいと考えていたけれど、保育を学ぶにつれ、一人一人の成長や学び、人間関係や食など日々の生活で大切なことがたくさんあるんだなって。声かけや環境設定ひとつにとってもいろんな影響があるって感じたり、思いもよらないハプニングがあったり(笑)本当におもしろいです。自然豊かな田舎へ行きたいって気持ちもあるけど、同時に、自分の地元も大好きで。高根の国際ワークキャンプに参加した時に、地元の人がめちゃくちゃ好きな地元のために活動をしている姿をみて、私も自分の地元で何かしたいって気持ちが芽生えたの。いつかは田舎へ行くだろうけど、今は地元ではたらいているから、地元で、それこそあんまり自然がなくても、都会の子も自然の中で遊べるような機会を作っていきたいと思っています。公園とかたくさんいってね。葉っぱやどんぐりを見つけて喜んだり、芝山を駆け回ったり、泥んこになって元気いっぱい遊ぶこどもの姿はやっぱりいいなって♪♪♪一歩ずつ自分のイメージに近付いていきたいです。

 

夢中になるくらいおもしろいとありますが、国際ワークキャンプのおもしろさってなんでしょうか?


思いもよらない人と出会うってすごいよね。昨日まで全く違う世界にいた人とワークして、買い物して、ご飯を作ってという日々の生活ができることがすごく面白かった。ワークも同じ。まず言葉があやしいよね。言葉が分からない中で、見よう見まねでやったり、教えてもらったり、常に脳が刺激された状態だった。ワークキャンプでは当たり前がなくって、明日どこに連れて行かれるのか、何をさせられるのか分からない(笑)、そんな世界にワクワクしていました。それに、そこに集まった人と仲良くなっていくのがまたおもしろい。ユーモアセンスも国境を越えてちょっとずつツッコめるようになり、ツッコまれたり。最初の日では考えられないような存在にお互いになれるのがすごい素敵だなって。そんな仲間と一つ一つを話し合いながら問題を解決し、ワークキャンプを創り上げていくのがすごくおもしろいなって思います。

今でもその仲間とは繋がっていてメールのやりとりをしたり、お互いに会いに行ったりしています。日本で大震災が起きた時、心配して連絡くれたんだよね。一緒に2週間働いただけなのに、日本にいるからって心配してくれる存在がいるって、すごく幸せだなって感じています。逆に自分もメンバーの地元の事がニュースに上がったりすると気になったり。今までイメージでしかなかった国や人が、出会ったことでぐっと近くなった。その人と出会うだけで、いろんな事が広がっていく。ワークキャンプが終わった後も、自分の世界が広がったり、繋がりあえる事もおもしろさの一つだと思います。
 

成長ダイアグラムについて

なんとなくつけちゃった。オール5じゃなぁって。気持ちはオール5だったんだけど(笑)。えへ。だって、全部すごい影響されているよ。ワークキャンプによって影響されるものは違ったけど。もし行ってなかったらと考えたら、今はまだ1にいるかもしれない。でもこの経験があるから、広がっていった。特に人との出会い。そこは自信を持って5だよ。4にしたのは、これからもっとのばしていきたいなってもの。もちろん全部だけど。人がやっぱり大きいな。やっていく力はこれからだと思うけど、これからも繋がって刺激し合っていきたい人達とは出会えたな。
 

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