大北充さんの履歴書。

2012/08/20

NICEで一番勉強すべきやったのは、遊びじゃなくて英語でしたね(笑)

名前
大北充さん
性別
男性
年代
34才(インタービュー当時)
属性
特許事務所職員
参加国
リトアニア、大東

-満足度100%に込めた思いは?

色々と含めて100%かなと。大変だったなと思う事もあったし、失敗もあったけれども、それも含めて全部経験になった。リトアニアは、初めての海外一人旅だったんですよ。英語も全然しゃべれないから、大変なことが多かった。次にリーダーとして参加した大東の時も、日本だから言葉の不便はなかったんですけど、海外ボランティアを受け入れる側(コーディネーター)としてまとめたり、ホームステイの調整をしたり。結構大変だった。大変なことはたくさんあったけれど、結果的に自分の意識が変わったり、成長できたりしたかなと思ったので、100%をつけました。

-リトアニアで大変だった事とは?

アメリカ-ロンドン経由でリトアニアへ行ったので、20時間くらいかかったんです。やっとリトアニアに着いた~と思ったら、カバンが出てこなかった。さて困った。説明したいんだけど、自分は英語がしゃべれない。向こうも英語がわからない。だからカバンがなくなったということすら伝えられずで。やっと奥の部屋に連れて行ってもらって、英語が分かる人が1人いたんです。結局時間がかかってしまったので、近くのホテルを無理やりとることになりました。ワークキャンプ集合の日に合わせて飛行機を取っていたので、集合時間に間に合うはずもなく、緊急連絡先への連絡の仕方も分からずで(笑)。ただ、すごく困ったんだけど、次の日現地に向かう時、タクシーの人にすごい助けられました。どこに行くんだ?って言われて、英文案内状を見せたら、「待ち合わせは昨日じゃないか!」って。それでものすごいスピードで車を走らせてくれて(明らかに法定速度を超えていました)、しかもお金はいらないからと言ってくれて。それは申し訳なくて、もちろん払いましたけどね。他にも困ったこと、大変なことはあったんですけど、そのたびに助けてくれる人がいつもいてくれました。

-リトアニアではどんなボランティアを?

なんかの施設のペンキ塗り。ひたすらペンキを塗っていましたね。2~3週間くらいですね。施設といってもキャンプ場のような施設で、泊るところがいっぱいあるんですよ。だから一個塗っても、また次があるって感じでひたすら塗り続けていました。

-活動やりがい度に90%をつけたのは?

「やりがい度」の表現が難しくて迷いました。ただ、案内をもらっていたのと、ちょっと違った活動だったんですよ。今となればNICEのことも知っていますし気にならないですけど、当時は初めてのことだったので、衝撃でした。「子ども達と施設の支援」って内容だったんですけど、実際はペンキ塗りで。確かに1日は施設に遊びに来ていた子どもたちとバスケットをしましたけどね。やりがいというか、その満足はしたけれども、10%引かせてもらったのは、これをこうしたいから今の作業が必要っていうのがわからなかった、分かりにくい状況やったのんです。ペンキ塗り直したらきれいだし、いいのはわかるんですけどね。

-リトアニアに参加してから、関西ナイスのコアメンバーになったと聞きましたが、なぜ帰国後活動に携わろうと思ったんですか?

リトアニアに参加する前に、プレキャン(国際ワークキャンプに参加する人たちの事前研修、プレワークキャンプの略)とかの案内が色々届いてはいたんです。でも一切いかなかったんですね。団体がうんさんくさいかと思って(笑)。自分で準備して、勝手に行かせてもらうわと思ってたんです。

そんな自分が行こうかなと思ったのは、リトアニアへ行った時に日本人の女の子に旅中にあったんです。その子の話をよくよく聞いていると、NICEのメンバーで、ワークキャンプの参加者やったんです。それで、かいさん(現NICE代表、開澤真一郎)がすごいおもしろい人だからって聞いて、それで行きたくなって、帰国後の活動から参加するようになりました。

-大学卒業する前まで、関西NICEで活動していたんですね。

活動といっても、自分はみんなを遊びに連れていくっていうだけで…(笑)。週末ワークあるときに、遊びに連れて行っちゃったりしました。日が被ってしまったけど、行っちゃえーーみたいな。

-遊びも大切なメンバーを結び付ける活動ですよね(笑)。

-「成長ダイアグラム」について教えて下さい。

1)実務的な知識・スキル 3
リトアニアでは英語そのものを学ぶというより、会話の仕方を学びました。伝えないと生きていけなかったので、ジェスチャーや文字やとにかく色んな方法を使いました。あと、ペンキ塗りは、ま、そのままですね。ただ塗るのも、壁の上を塗るのが得意になりました。上ばっかり塗っていたので(笑)

2)人・社会とやっていく力 5
全然知らない人といきなりあって、会話はできないけれども、2~3週間暮らすんですよ。楽しいことだけじゃなくて、いやな作業や苦しい作業もやらなきゃいけない。誰がどれを担当するとか話し合うんですけど、コミュニケーションがうまくとれなくて話がもつれたり…。そうすると調整が必要になるじゃないですか?その過程で、色んな人と一緒に何かを取り組むことへの抵抗がなくなりました。

特に大東ではリーダーをしたんですけど、なんで英語ができない人がリーダーなんだ、そんなのダメじゃないのって批判を受けたりしました。それでも、自分なりに動いた結果、最後は良かった!といってもらえたんですよね。

3)自分でやっていける力 5
201208201400_6.jpg友達と家族としか海外へ行ったことがなかった自分が、1人で海外へ行き、知らない人と会話をする、知らない町を歩く、知らない人に後ろから襲われそうになる(笑)経験をしたので、強くなりました。自信がついたかな。

-え、襲われたんですか?
地球の歩き方に載っているユースホステルに泊まろうと思って、夜遅かったんですが、遠くまで歩いて行ったんです。そしたら情報が古くて、今は学生寮になっていた。違う町へ行くかって時に、後ろからカッターを持った男に襲われかけて。体が大きかったので何もなかったんですけどね。

4)進路・目標 3
結局、大学を卒業して、営業の仕事をして、親の仕事を手伝って、今の特許事務所へという形なので、特にワークキャンプが進路・目標に影響を与えたということは具体的にはないんですよ。考えるいいきっかけはもらえましたけどね。

5)社会への考えや価値観 4
リトアニアへ行って、杉原千畝(すぎはら ちうね)さんのことを知りました。ユダヤ人へビザを発行した杉原さんがいたのが、リトアニアなんですよ(補足:杉原さんは、第二次世界大戦の際、リトアニアのカウナス領事館赴任。ナチス・ドイツの迫害によりポーランド等欧州各地から逃れてきた難民たちに、外務省からの訓命に反して、大量のビザ(通過査証)を発給し、およそ6,000人を助けた)。個人的に無知だったのもあるんですけど、特に学校で習った記憶もないし、こういう歴史への知識をつけておく必要があるなと思うようになりました。良い事は知らないですみますけど、悪い事は知らないじゃすまされないですからね。

6)その後の人生に生きた人脈 5
いいも悪いもあるんですけどね(笑)。NICEメンバーは濃いんですよ。濃いメンバーの中に新しく入って来る人は、またすごいんですよ。そんな人たちと、今もずっと繋がっています。子どもができ始めて会う機会は減ったけど、最近は結婚式で会えるかな。

元々理系の人間なので、大学とか高校のメンバーで、研究以外で海外へ行く人はほとんどいなんですよ。でもNICEの繋がりの人らは結構いるんでね。おもしろいですよね。いい影響を受けています。

実は今の仕事(特許事務所)に入る時、断られたんですね。その時、NICEの友達で、断られても受け続けて、入った子がいたんです。その人に影響を受けて、自分も断られた時どうしても入りたいですって伝えたんです。未経験が入りにくい業界なので、前職が八百屋の自分を雇いにくいのはわかりますけど、アルバイトでもいいのでやらせてくださいってね。そしたら、社長がそういうヤル気があるならやってみろって言ってくれてね。

-なぜ特許事務所に入ろうと思ったのですか?

大学3回生の就活の時に、理系で独立できる仕事を探していたんですね。独立の為には、やっぱり資格が強いかなと思って探していた時に、弁理士を知りました。弁理士は、自分で事務所を開く事もできるって。その資格を取るために、今は働きながら勉強しています。子育てもして忙しいって?(大北さんは3児のお父さんなのです!)子育てはしてない(笑)。嫁に怒られますね(笑)。

-今後の展望としては?

まずは資格をしっかり取る。その後は資格だけ持っててもしかないので、しっかりお客様のサポートをしていきたいです。特許も国際的な流れが色々と変わってきているので、そういう意味ではNICEで経験したことを活かせる視点とか、感性を持って、ちょっとこの業界でやってやろう!!!と思っています。

-国際的な流れが変わっているとは?

国別でいちいち権利を取ったり、国によって扱いが違ったりとかで統一性がなかったのが、最近は、先進国がメインになって統一していこうって流れになってきています。世界特許とか新聞でとりあげられていますよね?海外の人たちともやり合う形になっていきそうですね。今思えば、NICEで一番勉強すべきやったのは、遊びじゃなくて英語でしたね(笑)。まぁ、英語はNICEでなくても学べますけどね。

-最後に、メッセージをお願いします。

学生だと時間がある人は結構あると思うので、動いて何か行動を起こしたほうがいいと思いますね。色んなことに興味を持つ人もいるし、一つのことを掘り下げたい人もいると思うんですけど、とにかくやれることは一番やれる時期だと思います。個人的には色んな事をやりたいほうやったんで、バイトも色んな業界を経験したし、NICEの活動も続けていたしね。何か思う事があれば失敗をおそれずやってみてほしい。大きな失敗はだんだんできなくなるから、ひとり身で時間があって、あんまり責任を求められない時に、たくさん動いて成功も失敗もして、色々経験してほしいと思います。

2011年12月10日(土)9:00- @Skype

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