伊東さなえさんの履歴書。

2012/08/21

※履歴書はこちらからPDFで見ることができます。

―満足度100%、活動のやりがい度75%の数字に込めた思いは?
ワークキャンプって楽しいだろうなーと思って参加したら、本当に楽しかったんです。想像以上に楽しかったので、満足度は100%です。やりがいに関してはワークキャンプにもよるのですが、ボランティア活動の効果を考えると、2週間の活動では少ししか生み出せなかったですね。まったく意味のない活動だったわけではないけれど、やっぱり成果が少しだったので75%としました。海岸の清掃や子ども向けのゴミ啓発活動をしたインドネシアのキャンプでは、活動やメッセージが地域の人たちに届いているのか疑問でした。私たちが帰ったあと、何かここに残せるのか、と思ってしまって。そういうことで、キャンプ自体も、メンバーもすばらしかったんですけど、やりがい度は低めにつけてます。

ただ、国内でリーダーを務めた国際ワークキャンプは、もっとやりがい度が高いです。ボランティア活動も地域の人と一緒に必要な活動を考えてできたし、既に何度も国際ワークキャンプを受け入れている地域だったので、長い歴史の中でどう地域が変化してきたのかという成果を見ることができました。

―そんなワークキャンプで得た力(成長ダイアグラム)について教えてください。
1)       実務的な知識・スキル 4
まず国際ワークキャンプでは、英語が公用語なので、語学力が磨かれました。また、リーダーを務めた時は、プロジェクトをどうやってスタートさせ、動かしていくかを経験できました。大学生のうちに、一つのものを動かす経験ができたのは大きかったですね。

2)       人・社会とやっていく力 5
ワークキャンプには、国籍も年代も考えも違う人たちがたくさん集まります。色んな人がいて、文化があって、でも一緒にやっていかないといけないのがワークキャンプです。自分の主張だけでなく、相手の主張だけでなく、お互いの考えを合わせて、妥協点というと印象がよくないけれど結論を導かないといけません。そういう話合いを積み重ねていくと、どんどん寛容になっていく自分がいることに気づきました。「こういう人もいるよね、違う意見もあるよね、ま、いっか」肩の力を抜いて人と関われるようになりました。

3)自分でやっていける力 5
自分で話さないと動かないと物事が進んでいかないのがワークキャンプです。現地集合現地解散だから、自分で動かないと集合場所にもたどりつけませんし、相手と話すためには言葉(英語)を話すしかありません。英語が苦手だったり、自分にはできないと思っても、やっていくしかないので、自分でやっていける力は多少なりともついたと思います。

4)進路・目標 4
先ほど「人・社会とやっていく力」でも話しましたが、もともと人ってみんな違うよね、違うこと考えるよねと思っていました。その違いに注目したいなと思って、大学も人類学を専攻しましたし、ワークキャンプにも参加しようと思ったんですね。実際に参加をしてみて感じたことは、やっぱり人によっても、 文化や地域によっても考えややり方が違うってこと。自分たちがやりたい活動と地域の人達がやってほしい活動が必ずしも一致しているわけではないと感じました。地域や人の話を聞いて、物事を進めていく必要があるなと感じました。

人が考えていることを知りたい、どうしたらこちらのメッセージ(したいこと)が届くのかを知りたいという気持ちになったので、調査会社に入りました。調査会社ではインタビューやアンケートを実施しました。例えば、道を作る場合、そもそも道を作ってほしいのか、道を作るならどこに作るか、いつ(時期)作ったらいいのか、どういう管理をしてほしいのか、というのを地域の人に聞きます。そうするとこちら(道を作る側)が考えていることとは全く違う答えが返って来たりするんです。道がいるだろうと思って作ろうとしたら、実は地域の人たちは必要ないと感じていたり。そういう地域のニーズを探る仕事に携わりました。

5)社会への考えや価値観 4
価値観が変わったというより、自分がもともと持っていた価値観が強くなりましたね。色んな人がいるし、色んなことを考えているけれど、違っていても一緒にやっていけるんだって前よりも強く思うようになりました。

6)その後の人生に活きた人脈 5
人脈もそうなんですけども、とにかく友達がたくさんできました。ワークキャンプのメンバーもそうですが、NICEの週末ワークキャンプや合宿などを通じてできた友達とも繋がっています。みんなすごく寛容で、いろんな人がいるんですけど、お互いに受け入れあっている感じなんです。だから安心するし、とても居心地がいいんです。会社や大学の友達とは一味違う活動をしている人が多いので、みんな色んな所でそれぞれ頑張っているから刺激になりますよ。自分もがんばろうって気持ちになれます。

―先ほど「人がどう考えているのかを知りたい」と思い調査会社に入ったとのことですが、そこを辞めて青年海外協力隊へ行こうと思ったのはなぜですか?
調査の仕事って行政から委託されることが多いんですが、行政は調査予算を縮小し始めました。そのため私がいた部署も縮小されることになり、会社にいた後半はマーケティングの仕事に変わってしまいました。もちろんマーケティングの仕事も楽しかったですが、売るための施策を考えることがしたかったわけではないので、どうしようかなって考えていたんです。元々協力隊は頭の隅にありました。地域に入り込んで、地域のニーズを探り、地域の人達と一緒に活動に取り組む経験をしてみようと思ったんです。

―ネパールで現在は活動をされていますが、具体的には?
キルティプール市の計画課環境担当の人達と一緒に、住民参加型での環境対策、ゴミの対策をしています。具体的には、主婦(女性)向けのごみ分別講習会を開催したり、市が行っているプラスチック類の分別回収をサポートしています。あとは、地域のユースクラブなんかと一緒に、若者向け講習会をしたり、イベントの企画をしたりもしています。

―今後の展望について教えてください。
残り半年活動が残っていますが、帰国したら大学院で開発人類学を研究しようと思っています。文化やそこの地域に合った形での開発、地域づくりにこれからも携わっていくために、今までNICEやネパールでやってきたこと、見たことを体系的にまとめたいと思っています。

また将来的には、地域づくりに携わりたいですね。ここネパールでNGOの活動がステキだな、と思っています。植林もしているのですが、多くの植林は外から来た人が植えてそのままになっているんです。そうすると木は枯れてしまいます。でもここのNGOは、地域の人達になぜ植林が必要で、植林をしないと自分たちの生活に影響があるんだってことをきちんと理解してもらって、その上で地域の人たちのニーズも聞いて、地域の人たちのためにもなる形で、一緒に活動を展開しているんです。そうすると植えた木はきちんと育っていきます。地域の人達が世話をしてくれますからね。こういった形の活動に携われたらと思っています。

また個人的な夢は、楽しく生きるです☆

―最後にメッセージをお願いします。
ワークキャンプは楽しいです。他にはない、濃い時間が凝縮されています。常にアドレナリンが出ている状態になりますよ(笑)。私は本当に行ってよかったです。はまったのでずいぶんたくさん参加しました。無理する必要はまったくないですが、ちょっとでも「気になるな」「やってみようかな」と思ったら、ぜひ行動を起こしてください。やってみてから、あれこれ悩んだらいいと思います。会社や大学だけではない人にも会えますし、何かしら得るものがあると思いますよ。

2012年06月06日(水)10-@スカイプ