谷寿彰さんの履歴書。

2012/11/05

谷寿彰さんの履歴書はこちらをご覧ください。

どさんこNICE(北海道のNICEボランティアが自主的に活動するチーム)と大学1年生で出会い、その後新得の国際ワークキャンプでリーダーを2回務めた谷さん。メンバーの一人だった江美さんと結婚し、新婚旅行でモロッコの国際ワークキャンプに参加。現在は、ご夫婦でイナゾーファーム(「Farm(農場)からFork(食卓)まで」のつながりを目指す北海道のオーガニックファーム)を営んでいます。そんな谷さんにお話を聞きました。

どさんこNICEとの出会いを教えてください。
ESSという英語サークルに所属をしていたんですが、そこで出会った栗本泰佑(リンク:http://www.nice1.gr.jp/topics_detail23/id=2624)さんが、国際ワークキャンプを行っているNICEのことを話してくれ、今度どさんこNICEのミーティングがあるから来ないかと誘ってくれました。そのミーティングは、これからどさんこNICEとしてどんな活動を展開していくかというキックオフミーティングでした。国際ワークキャンプに参加したことがない自分が、国際ワークキャンプの説明会を開催し(笑)、週末ワークキャンプなどを企画していました。どさんこNICEとして活動して4年目に、やっと新得の国際ワークキャンプに参加する機会に恵まれました。最初の参加ではありましたが、リーダーをやる気満々でかいさん(NICE代表)にその旨を話しましたが、基本的に経験者に任せるんだー、とのこと。では普通に参加しようとしているところに、かいさんから「とし、今年リーダーをやるんだよね?」と打診され、参加をすることになりました。

満足度80%、活動のやりがい度90%の数字に込めた思いは?
最近参加をしたモロッコは、ワークというよりも交流やレクレーションが中心だったので除いています。

新得は共働学舎が受入れでした。共働学舎は1974年設立され、競争社会から協力社会への転換を目指し、農業を学びたい人、知的障がい者、引きこもり等、様々な人々・約120名が北海道・長野・東京の6ヶ所の共同体で暮らしながら、有機農業や畜産に取り組んでいる所です。新得の共働学舎では、微生物を使った有機農業や畜産(牛・豚・鶏・羊・山羊・馬)、ケーキ作り等に取り組んでいます。チーズは、世界コンクールで金賞を受賞する超優れモノ。60haに十数名の子どもを含む、約50名が生活をしている場所です。

そんな新得で国際ワークキャンプが開催された時期が、牛用のデントコーン(飼料とうもろこし)を保存する時期だったので、やることがたくさんありました。朝の6時から夜の20時まで働いた日もありましたよ。ワークにしっかり取り組めたという意味でも、またリーダーとしてメンバーや共働学舎の人達との懸け橋になれたという意味でも、やりがいはとてもありました。満足度が少し低いのは、2度目にリーダーを務めた時のメンバーと、その後のつながりをうまく築けなかったことが残念だったからです。いや、今からでも遅くないかな。。

成長ダイアグラムについて教えてください。
1)    実務的な知識・スキル 3
共働学舎の方が事務的な作業を全てやってくれました。食材も肉・チーズ・卵は自給していましたし、料理を作るのも共働学舎のメンバーの方と一緒だったので、特に自分たちで実務をすることがなかったんです。身体を動かす作業が中心でしたので、特に変化のない3をつけました。

6)その後の人生に活きた人脈 3
妻と出会ったことはとても大きですが(笑)、人脈という意味での広がりはあまりありませんでした。ただ、そこで知り合った学舎のメンバーや友人たちとは今でもつながっています。

3)自分でやっていける力 4
「ワークキャンプとその後の人生」にも書きましたが、「家が建てられる」ということが一つ抽象的な気づきだったんですが、自分の意志さえあれば、何でもできることをまざまざと見せつけられました。自分の意志で何でもやっていけることを学びましたが、もちろん、学舎にも様々なチャレンジがあり、現実には全てできるわけではないのですが。色々な人と協力することも大切ですよね。

5)社会への考えや価値観 4
これも「ワークキャンプとその後の人生」にも書きましたが、人に対する見方がかわりました。障がい者と健常者を隔てる壁なんてありません。もちろん障がい者は何かしらハンディを背負っていますが、あえてそれをクローズアップする必要もないですよね。程度の差はあれど、みんな健常者であり、障がい者であると思っています。例えば、性格が割る人は、ある意味性格に障がいを持っていると言えるでしょうしね。そういう意味で、考えが変わりました。

2)人・社会とやっていく力 5
コミュニケーションをする力が上がりましたね。市川さんという方が共働学舎にいらっしゃるんですが、最初とても気難しく、取っ付きづらい印象を受けました。喧嘩もたくさんしました。でも一度分かりあえると、人が変わったように穏やかになったんです。言葉では説明しにくいんですが、心を開くことと心を開かれることのやりとりは、とても難しいですが大切なことだと感じました。友達になるって難しいですが、楽しいなって思えるようになりました。

4)進路・目標 5
国際ワークキャンプに参加する前に、新得の代表である宮嶋望さんと話をして、農業の道に進もうと心が決まったからですね。実家を継ぐかどうか悩んでいた時期に、共働学舎へ行って、望さんと半日話す機会があったんです。もともと継ぐことを考えてはいたんですが、確信をもってやろうと思えてなかったのが、踏ん切りがついたんです。望さんの農業に対する話が非常にうまかったんですよ。21歳の若者が、彼に真正面で農業の必要性を説かれたら、心動かされない人はいないと思います(笑)。大学3年生の進路を考える時でしたからなおさらに(笑)。今は3代目の農家として、農業を営んでいます。

イナゾーファームについて教えてください。
「Farm(農場)からFork(食卓)まで」のつながりを目指す北海道のオーガニックファームです。名称は大学の大先輩である新渡戸稲造先生のお名前をお借りしました。偉大なお名前に恥じないように、地元にあるものを最大限活かして、高品質で多収量、持続的でオリジナリティーの高い有機農業を進めていきます。Rock’n Farm!! YEAH!!

今後の夢や展望は??
一番の目標は「農業をロックすること」ですね。農業をチェンジすることはできないと思いますが、ロック(揺さぶる)ことはできると思うんです。イナゾーファームでは、有機農業に取り組んでいますが、有機農業に対するイメージを払しょくしたいんです。有機作物といえば、虫食いがあって、収量も取れなくて、採算が合わないというイメージが少なからずあると思うんですが、本当はきれいで、たくさん採れるものだと証明したいですね。また地域の中で有機の肥料さえ作ってしまい、地域内で資源を循環させることで環境への負荷も減らしていきたいです。それをがちがちのビジネスで通用するレベルで取り組むことで、イメージを変えていきますよ。夫婦で力を合わせて、農業をロックするために取り組んでいきます。

最後にメッセージをお願いします。
もし悩んでいることがあるのであれば、落ちるところまで落ちて、さらに深く掘り進んでください。深くなればなるほど、その先にあるものがきっと大きなものになるはずです。

谷寿彰さん
2012年11月1日(木)21:00-@スカイプ