平井琴音さんの履歴書。

2012/11/27

平井琴音さんの履歴書はこちらをご覧ください。

アイスランド、スペイン、長野県小谷村真木の国際ワークキャンプに参加し、週末ワークキャンプや各種イベントのお手伝いなどをし、現在は東北の復興支援に携わっている平井琴音さんにお話を伺いました。

満足度(アイスランド90%、スペイン100%)、活動のやりがい度(アイスランド70%、スペイン80%)にそれぞれ数字を付けていただきましたが、この数字に込めた思いは?
情報が少ない中で、アイスランドの国際ワークキャンプに飛び込んだことで、世界がぐっと広がりました。この経験がとても楽しかったので、次の活動に繋がりました。ただ、十分に参加者とコミュニケーションがとれるレベルの英語力は持ち併せていなかったのと、参加者はヨーロッパ人がほとんどで感覚の違いが色々あったので、様々な壁にぶち当たりました。感覚が違うんだってことすらよくわからない状況の中で、2週間の活動を乗り切りました。その経験があったので、スペインの国際ワークキャンプは、心の準備もできましたし、アイスランドでつまずいたことを克服しようという気持ちで参加したので、かなりよい経験や活動ができました。そのため2回目のスペインは満足度が高いです。

活動のやりがい度は、途上国へ行ったわけではないので、作業の必要性という面から考えると低いですね。すごく必要とされている仕事をやるというよりは、過疎の町、人が少ない地方に人を呼ぶことが目的なので、作業はおまけという位置づけでした。もちろん過疎の町に人をよんで、活気づけるのも大切な活動だと自分の中では納得していますが、ボランティア活動の側面からみると誰かのためになったのかという疑問が残りました。そのため、やりがい度は70-80%です。

3度目に国内の国際ワークキャンプを選んだのは?
単純に時間があまり取れなかったからですね。就職活動が苦戦して長引き、大学4年の夏休みに行けなかったんです。就職活動は夏休み前には終わっていたんですが、海外へ行くとなるとそれなりの準備が必要になりますから、間に合わなかったんですね。でもどうしても参加したかったんです。当時は、毎年ワークキャンプに行きたくて、ワークキャンプをしながら、歳をとっていきたいと思っていました。学生で時間があるから参加するんじゃなくて、ずっとやっていたいなっていう気持ちだったんです。もう、楽しいからですね。旅行とは、楽しさが全然違います。心が通じる友達ができるのも魅力ですが、それよりも田舎でもいいから、自分の知らないところに「住む」ことができるという魅力ですね。訪れるのと住むのでは全然見え方が違ってきます。それを知ったから、短期であちこち駆け回る旅行に物足りなさを感じてしまったんです。でも大学の授業や卒業の準備があったので、確保できる時間が10日前後しかなく、その期間で参加できるものを探したら真木が該当して参加をきめました。

そんなワークキャンプでついたチカラについて教えてください(成長ダイアグラム)。
1)    実務的な知識・スキル 4
語学力については、確実に力はつきましたが飛躍的には伸びませんでした。今でもいいたいことを全て言えるわけではないので、4ですね。

2)    人・社会とやっていける力 5
「人・社会とやっていける力」という響きは重いですが、初対面の人に積極的に話しかける力はついたと思います。

3)    自分でやっていく力 5
飛び込む力が確実に培われましたね。今回転職をして仙台に来たんですが、今まで宮城県に足を踏み入れたこともありませんでした。親戚もいませんし、遊びにも行ったことがない地です。知らない場所でも飛び込んで生活ができる力は、確実にワークキャンプでつきました。

5)     社会への考えや価値観 5
日本での当たり前が、全世界では当たり前ではないということを頭でわかるのと実際に経験するのでは全然違います。おもしろい経験をさせてもらったと思っています。文化圏の違いってすごいですよね。例えば何気なく着ているジャージのブランドが違ったり、シャワーの使い方一つでとまどったり。参加者はヨーロッパ各地から来ているけれど、ヨーロッパという文化圏が同じというだけで、感覚で会話ができるんです。私達日本人が、アジア人といるとなんとなく落ち着くのと一緒ですね。そういう感覚が存在すること、また違いがあるということに気づけたのは、色々な人と付き合っていく中では大切なことだと感じています。

6)    その後の人生に活きた人脈 5
NICE関連で出会った人達は、久しぶりに会っても、いつでも打ち解けられます。打ち解け方が尋常じゃないです(笑)。「最近会ってなかったねー」と言葉にする必要がないんです。普通の友達だと、何年ぶりだっけ?の会話から始まりますが、NICEで出会った人たちは前会った時から自然に今に繋がります。仕事に繋がる人脈というわけではないけれど、素敵な人たちに出会えたと思っています。

4)    進路・目標 3
ワークキャンプはとても楽しいけれど、自分がそれを仕事にするイメージを就職活動の時には持てませんでした。日本のよくある企業で大勢の人がやっているように働くことが自然なことだという考えでいたので、普通に就職活動をしました。でもここへきて、東日本大震災がきっかけですが、えいっと転職できたのは少なからずワークキャンプが影響しているかもしれません。需要があるところに労働力を提供したいと考えるようになりましたし、企業で働くことだけが全てではないこと、色々な選択肢があるということに気付けました。

就職活動で企業を選び、2年務めた後、東日本大震災がきっかけで、復興支援に携わる社団法人に転職されたのは?
阪神・淡路大震災以来の何十年ぶりに、日本国内でこれだけ支援を必要とする地域・人がでました。国内のことですから、国民総勢で助けて当たり前だと思いますが、他の地域に住む人たちがまずやらないといけないことは、以前と変わらない仕事を全うし、生活することですよね。その人たちまで今までのやっていたことを投げ出したら、社会が回らなくなってしまいます。そのことがものすごくもどかしかったんです。東北支援へ行きたいと思いながら、日々の生活を全て投げ出すことはできません。東北は距離もありますし、土日で出来ることの小ささもワークキャンプを経験しているからこそ、感じていました。大した力になれないかもしれないのに、自分のエネルギーとお金を費やして東北支援に携わるイメージが持てませんでした。無理してやることは違うと感じていました。でも、気にせずにはいられなかったので、本気で関わるために、復興支援を仕事にしようと決心しました。それで、今の団体へ転職を決めました。

今の転職先の団体とはどうやって出会ったのですか?
実はNICEのメーリングリストで知ったんです。NPO法人ETIC.の右腕派遣プロジェクト(震災復興リーダー支援プロジェクトの主力活動。被災地の復興に向けた事業・プロジェクトに取り組むリーダーのもとに、その「右腕」となる有能かつ意欲ある若手人材を、3年間で200名派遣することを目標)の説明会についてが、メーリングリストに流れてきました。当時の東北の状況も復興支援のやり方も、具体的には分かっていなかったので、どんな活動があるのかを知るためにこの説明会に参加をしました。丸1日かけて色々な団体のプレゼンを聞いて、その中の一つが今働いている団体です。代表の想いやビジョンに共感し、この団体で働きたいと考えました。それが今年(2012年)の2月ですね。それで2月半ばにETIC.の方と面接をして、2月末にこの団体の活動に実際に参加をしてきました。それで会社に3月末で辞めさせていただきますと無理やり意見を通し、4月半ばから今の仕事場で働き始めました。この行動力はワークキャンプで培ったとしか思えないですね(笑)。

実際やっているお仕事は?
地元の人が中心となった東北地域の復興を実現するために東日本大震災後に設立された団体です。昨年(2011年)8月に一般社団法人となりました。私は南三陸のボランティアツアーのコーディネーターと事務局長を兼任しています。南三陸では、「農業で被災者雇用応援プロジェクト」と「漁業&ブルーツーリズム開発応援プロジェクト」に取り組んでいます。

今後の夢や展望は?
全くの白紙です(笑)。今はNPO法人ETIC.から派遣されている形で、来年の3月末までの契約です。そのため、来年までに復興関係の仕事を別に見つけようと思っています。新しい所に飛び込むのがとても好きなので、色々な地域に入って、地域を元気にする仕事に取り組みたいですね。もう企業でお金のために働くことはやめたいです。自分が続けられる仕事探しを20代でしようと思います。

最後にメッセージをお願いします。
人に何か伝えることなんてないんですが。。。

NICEに関わっているような人たちは、本当に気持ちがいいんですよ。ワークキャンプの経験からきているのでしょうか。一人である程度行動でき、人に対してオープンで寛容な人たちが集まっています。みんながそうなったら、もう少しいい社会になると思います。どんどん行動して、人に対してオープンな人になってほしいと思います。

平井琴音さん
2012年11月13日(火)14:00- @新宿御苑