水野俊樹さんの履歴書。

2012/08/20

「手をひっぱる」んじゃなく て「背中を押す」支援を。開発コンサルタントとしてスタート時点に立つ。

名前
水野俊樹さん
性別
男性
年代
30才(インタービュー当時)
属性
開発コンサルタント
参加国
モンゴル、ネパール、能勢、平田

満足度100%と活動やりがい度80%に込めた思いは?

満足度100%でしょう。学生の20歳の時に、何か価値観をくつがえされるような経験をしたいと思って、いろんなジャンルで探してたけど、その中で途上国のワークキャンプが一番ぶっ飛んでそうで。。。価値観をくつがえされた経験をいろいろ味わえたから満足度100。学生時代はどっぷりNICEだった。ワークキャンプで途上国へ行きたいから、そのお金を貯めるためにバイトするみたいな感じやったな。

やりがい度で、20%引かせてもらったのは、ほんまに現地の為に役だってないんちゃうんっていうのがあったから。俺が行ったところ(参加した国際ワークキャンプ)では、毎回楽しいし、自分の濃い経験にはなるけど、これって現地の人々の自立のための支援にはなっていないって感じる部分があった。

-それでも一度だけでなく、何度も国際ワークキャンプに参加しようと思ったのはなぜですか?

観光旅行や一人旅では入り込めない、途上国の地方の人のライフスタイルに入り込んで、語り合える場があるっていうのがやみつきになってしまったとこやな。いつもどのワーキャンに参加しても「なんじゃ、こりゃっ!!」って思う行動を現地の人がとり始めたりして、日本や欧米の中でだけ成長していたら絶対に触れられない場面に遭遇できるのがもうめっちゃ楽しくて。。。その瞬間、自分の人生が豊かになっていってる感じがする。

-そうなんですね。国際ワークキャンプだけでなく、難民チーム活動も活発に携わっていたとお聞きしましたが。

ニュースで途上国の社会問題に触れたり、大学で国際協力を勉強したりしてて、将来どっかで何かできたらいいなっていうざっくりとした思いはあって さ。そしたら日本にもアフガニスタン難民がいるってことを知って、大学生でも、日本にいてても、ちょっと関わり始められるやん!というので日本の難民支援に関わり始めた。

-もともと大学に入る前から、国際協力に関わりたいという思いがあったのですか。

いや、大学入ってからやね。海外のニュース見て、なんじゃこりゃーと思った。最初なんじゃこりゃーと思ったんは、モンゴルのマンホールの下で生活し ている子ども達。実際に見に行こうと思って、それでいろんなNGOの資料を取り寄せてたら、NICEが安くてモンゴルのワークキャンプへ行ったって感じやな。今まで頭だけ何かせなって感じやったけど、現地行くことで、より自分の芯にどーーんと「やらなあかんやん」って気持ちがしみついてきた。だから NICEで現場を見れたんは、自分にとってはインパクトがあったね。

ワークキャンプとその後の人生について

NICE を通じて出会った仲間が次々と海外へ旅立っていくのに刺激を受け、自分も海外で働きたいと考えるようになった。そして、その夢は達成することができて現 在、公立学校の教諭として働いている。海外での生活は、夢のような日々だったので、またいつか「海外で働きたい」という気持ちがある。数年後に、日本人学 校の教諭と行くチャンスがあれば行きたい!!

-現場を見て、やらなあかんやんという思いから、UNHCRでのインターンやアメリカの大学院を目指したのですか?

やらなあかんやんっていう想いと同時に、途上国の困っている人達が大変な状況からはい上がれるようになるには、こっちが「手をひっぱる」んじゃなく て「背中を押す」支援が絶対必要と思った。そのためには、ボランティアじゃなくてプロの視点で支援に関われるようにならなきゃいけない。プロになるには、 関心分野での「経験」と「知識」と両方蓄えないと使えないってのがあって、現場の経験を重ねるためにUNHCR保護課でインターン、視点を磨くために大学院で勉強した。30歳の今でも両方ともまだまだ未熟やけど...

-簡単に入れるもんじゃないですよね?

そうやな。性格がいいからな(笑)。あとおもろいからかな(笑)。インターンの受験資格は大学院生もしくは院卒ってはっきり書いてあったんやけど、 そのときは院に行ってないけどダメもとで受けてみた。関西NICE難民チームでこんなんやってきましたってのを色々言って、採用してもらった感じやねん。 だから難民チームでの経験が生かされてるんやな。

-今の仕事は?

最近転職して、今は開発コンサルティング会社で働いてるよ。開発コンサル会社は、日本政府が相手の途上国政府とこういうテーマでプロジェクトをやりましょうって決めるんやけど、その決めたプロジェクトを実際にまわす職種。現地に行って、ニーズの調査をして、プロジェクトを企画して、そのプロジェクト を回すって流れ。分野は色々あって、今、関わってるのは保健医療の分野。子どもの死亡率が高い村があって、それを下げるためのプロジェクトをチームで企画 して、現地のスタッフへの研修調整をしたり、病院にアクセスできるようにするにはどーしたらいいか考えたり。。。

今やっているような仕事 (開発コンサルティング)ってさ、30歳がスタートになるくらい、ちょっと普通の仕事より遅い業界。でも専門的に途上国「支援」に取り組む業界って考えると、30歳でまだ新人君っていうのは当たり前やと思う。そないに簡単に知らない土地の困った人達を自立させる支援ってできひんと思うし。

-大学卒業時にイメージした人生のスタートラインに立ったところなんですね。

そうやね。しばらく、この分野でやっていきたいな。

それも振り返ると、20歳の時に途上国の現場を見てなかったらここまで持続もしないやろうし。だから、すごいありがたいなNICEには。

これからは、まず保健医療で少し経験を貯めるけど、ゆくゆくは難民とか、マンホールチルドレンとか、っていう分野に関わっていきたい。

-成長ダイアグラムについて教えてください。

人脈が一番語りやすいな。色んな所で友達いるけど、NICEでできた友達は一番密な感じがするからね。分野はみんな違うけど、その奥にある感覚とか考え方が似てるきがするからかな。みのへい(元NICE会員)、おさむ(NICEの共催団体)、やす(現NICE職員)、みんなおじいさんになっても付き合っているやろうし。出身もバックグウンドも違うからNICEに入会してなかったらほんま出会ってないしな。本当にお互い刺激を受けて、与えて、成長していってる感じやな。こんな仲間に巡り会える場をくれたNICEに感謝、感謝、そして、、、感謝。 実務的なスキルか。なんやろうな、変なも のが食べられるようになったしな。サバイバル力はついたよ。一方でそのおかげで、ビジネス業界の人とやって いく力は少し失われている気はするけどな。ビジネス業界で人と話してて、お互い話が盛り上がって楽しい雰囲気になって、調子に乗ってワーキャンで途上国で出てきた変わった食べ物の話をすると急に距離が開いてしまうしさ(笑)。 -マイナスですね(笑)。逆にビジネスでこれ役だったなーと思う力はありますか。 そうやな。ビジネスで色々企画したり、すごい考える力が必要やからさ、NICEの合宿とかでみんなで紙に書いたりして、色々考えてたのは、役にたったかもしれないな。

-成長ダイアグラムがオール5ですが、人脈以外で何かお話いただけることはありますか。

あと社会への価値観かなぁ。大学生でワーキャンに参加する前は、途上国の人は「援助の受け手」「疲弊していてエネルギーがない」、日本人が「手を ひっぱってリードしてあげるもの」と心のどっかで思ってたけど、参加して実際に見て、彼らと生活を共にしたことで、途上国の人は「自分で何とかできる」 「エネルギーはめっちゃある。」日本人は「途上国の人の自立のため背中を押すスタンス」という価値観が自分の中で出来上がってきた。

この価値観、考え方がワークキャンプを通じて作られて、これは今の仕事での姿勢としても活かされている。

-NICEと出会って10年。今はNICEの組織とはあまり関わりがないとのことですが、何かあれば駆けつけてくださっている水野さん。なぜ関わり続けていただけるのでしょうか。

こに集まっている人と共有できるものがあるやん。その共有できる場が最高に気持ちいいねん。

-座右の銘について教えてください。

「思考より試行」。色々迷うことはあるけど、まず動いてたら後から考えは出来上がっていくかなと。今ダンスやってて、前は極真空手もやってたけど、どっちも最初入門でドアをたたくときめっちゃ緊張してさ。ダンスとかめっちゃ若い子ばっかりで茶髪で、俺浮くやんと思ってたから、行くのとかためらったけど、行ってみるとね、そうじゃない人達がいっぱいいて、楽しくてとかなって、気づいたらダンスにはまってて。極真空手もみんな殴りあってて、ごっつい人らばっかで行ったら殺されると思って最初怖かったけど、行くとおもろい人らばっかりで、気づいたら試合出るまでやっ てたりして。考えるよりも動いてくっていうのを続けて習慣になったら、知らん間に自分もいい方向に変わってきてる。NICEもそうやもんね。最初入るか 迷ったけど、入ってみたらすごい自分に影響を与えてくれる数々の場面に出会って、素晴らしい仲間に巡り会えて、、、。

-最後に、これから参加を考えている人や学生さんにメッセージがあればお願いします。

文字で伝えるのって難しいよなぁ。なんかほんまに、俺も一歩踏み出してNICEに入ったからこんなに学べたけど、ほんとにそこ(履歴書のこれから参加を考えている人へ、熱いメッセージを♪)に書いたみたいに、まず行ってみてっていうしかないよな。行ってみたら後悔せえへんし。これ、本当は会って面と向かって伝えたいけどな。なんかもし、自分のやっていることとかやってきたことに興味あって、連絡くれて、話しながら NICEええでっていうのを伝えて、NICE入ってくれて、ワークキャンプいって、その人が成長していったら一番ベストなサイクルやな。

(2011年10月27日 Skypeにて)

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