石野紗也子さんの履歴書。

2012/08/21

※履歴書はこちらからPDFで見ることができます。


―満足度と活動のやりがい度の数字に込めた思いを教えてください。
2004年、大学2年生の時に参加したフランスの国際ワークキャンプは、文句のつけようがないほど、素晴らしいものでした。初めての海外旅行、一人旅だったので、とても不安でした。その不安を吹き飛ばしてくれるほど、ワークキャンプのメンバーは優しかったですし、村の人達もとても暖かく迎え入れてくださいました。ワークの内容が山道の安全のために壁を作るというもので、土を掘り起こして壁を作っていく作業を3週間続けました。私たちのチームは、山道の半分を担当し、残りの半分はこれからくる新しいチームが引き継ぐということでした。自分たちが担当したところを完成することができて、とても達成感がありました。

その後、フランスへ再度行く機会があり、壁が完成しているかを見てきました。残りのチームもしっかり働いたのでしょう。壁は見事に出来上がっていました。日本に帰国してからも完成した壁を思い出すたび、とても嬉しい気持ちになります。また、国際ワークキャンプでフランスを訪れたことがきっかけで、次の年にフランスへ1年間留学をすることにつながりました。ワークキャンプだけでなく、フランス留学へ繋がったことも含めトータルでとても満足をしているので、高い評価をつけました。

次に参加したトーゴとフランスは、2012年2-3月に参加しました。企業で働いていたのですが、大学院へ進む前に、これから研究で関わるフランス語圏のアフリカへ行きたかったからです。トーゴへはフランス経由で入ることになったので、それならフランスでもワークキャンプに参加しようと思って、2つ同時に申込をしました。

トーゴの団体は最初の受入れの返事や空港出迎えまではとてもよかったのですが、現地でのコーディネートが全く機能していないこと、ワークがなかったことなど、どう考えてもかなりよくないプログラム・団体だったので、評価はとても低くつけました。詳しくはNICEさんに提出した、体験レポートをご覧ください。これから参加を考えている方々への参考になればと思い書きました。

最後に参加したフランスは、1週間のプログラムでした。課題もたくさんありましたが、1週間でできることはすべてやりきりましたし、今の私にはちょうどよい期間だと思ったのでこの数字をつけました。大学の時に参加していたら、また違った評価になっていたと思いますが、社会人を経験して、大学院に入る前の私には、これくらい短い期間で楽しむプログラムがよかったと思います。最初のフランスの時より10%低くなっているのは、マイナス評価ではなく、その時々の自分にとってどれほど有意義なものであったか、という視点でつけました。

―成長ダイアグラムについて教えてください。
1~6の項目の例をみたところ、全体的にいい印象だったので4以上をつけさせていただきました。最後の「その後の人生に活きた人脈」だけ高いのは、トーゴを通じての出会いがあったからです。

―どんな出会いがあったのですか?
何年か前に、トーゴ・FAGADでボランティアをしていたフランス人とトーゴ人が、FAGADの運営に疑問を持ち、地域のニーズに合う活動をするために自分たちでそれぞれ団体を立ち上げたんですね。私が活動をしていた地域と一緒だったので、現地コーディネートの人が紹介してくれました。フランス人の方が、私がちゃんとボランティアできているのか心配をしてくれて、コーディネーターとやり取りをしてくれました。ほとんどやることがないとわかったので、自分たちの活動に参加しないか?と言ってくれました。井戸の修繕プロジェクトや識字教育をやっていたので、一緒に参加することにしました。設立したばかりの団体で、ネットワークや信用はほとんどない状態ですが、彼らはトーゴの人々のために本当に熱意を持って活動しています。私にも協力できることがあればやってほしいと言われたので、ぜひこれからも協力したいと思いました。これからアフリカをフィールドに研究する私にとっては嬉しいつながりですね。

またトーゴへ行く前にビザを取る必要があったので、大使館に電話をしたんですね。そしたら、トーゴの臨時代理大使[F1] がなんでトーゴへ行くのかインタビューをしたいと声をかけてくださいました。実はトーゴの大使館が出来たのは、2010年と最近なんですよ。それまではフランス大使館が代行していました。それくらい、トーゴは日本にとっては遠い存在でした。日本語のガイドブックもなければ、あったとしても英語版のロンリープラネット「西アフリカ」の20ページ程。トーゴへ行く日本人がとても珍しかったんでしょうね。だから声をかけていただいたんだと思います。インタビューを受けた日に、日本トーゴ友好協会の方も紹介していただきました。帰国後は是非一緒にトーゴの魅力を日本に伝えていきましょうと声をかけていただき、臨時代理大使を大学院に招待して講演をしていただいたり、各種イベントも開催したりと、日本トーゴ友好協会のメンバーとしても現在活動しています。

―今後の展望は?
高校生の時から、国際機関で働きたいという気持ちはありました。そのためには大学院へ行く必要があります。大学卒業後すぐ大学院へ行かなかったのは、具体的に何を研究したいのか、本当にその道に進むべきか、まだ固まっていなかったからです。就職にも興味があり、とりあえず2年間社会人として働きながら、自分の気持ちを見極めようと思いました。迷いながらではありましたが、仕事には全力で取り組みました。とてもやりがいがあり、ずっと続けようと思ったこともあったのですが、やはり希望を捨てきれないことがわかったので覚悟を決めました。結果的に4年弱勤めました。大卒後就職してよかったことの一つは、「新卒」という特典を活用できたことです。日本の企業の場合、新卒は特別扱いですよね。研修制度も充実しています。私は知識が全くない状態から、仕事を通じてシステムエンジニアとしての技能を身に付けました。この職種を選んだのは青年海外協力隊も考えていたからです。協力隊であれば、技術が必要ですからね。でも大学院へ行くことにしたので、これからは国際機関への道を進むべく、専門領域である教育開発の研究に取り組もうと思っています。今年の夏はウガンダの教育省でのインターンシップが決まっています。来年はまた別の国際機関でインターンシップを経験し、ステップアップしていきたいですね。

―最後にメッセージをお願いします。
大学時代、私の周りには外国へ行く人も、興味がある人もたくさんいました。それが当たり前と思っていましたが、社会人になってみると、海外へ行ったことがある人がとても少ないことに気づきました。もちろんそれを否定するわけではないですが、中には行っておけばよかったという人もたくさんいます。海外へ行ける状態にあって、且つ興味があるのであれば行かれたらいいと思います。もし大学時代に、NICEさんに出会ってなかったら、今の私は間違いなくありません。私にとってはとてもよい出会いだったので、みなさんも興味があるなら参加してみたらいいと思いますよ。

2012年7月19日(木)10:00-@電話