川端元維さん履歴書。

2012/08/21

※履歴書はこちらからPDFで見ることができます。


―満足度100%に込めた思いは?
色々な場所でワークキャンプに参加したけれど、それぞれに自分で決めた目的があり、それを達成出来たので100%にしました。

最初に参加したフランスのワークキャンプでは、海外&一人旅が初めてで、目的は3つ。視野を広げよう、現地の人と交流しよう、自分を少しでも成長させよう、それら3つの目的がきちんと達成できたので満足度は100%。

日本のワークキャンプ(3か所)は、リーダーとして運営側に加わりました。「参加者」として参加するよりも、リーダーとして運営に携わることはとてもチャレンジングなので、出来たこと、出来なかったことがありました。出来なかったことがあったから、満足度の数字を下げるという考え方もあると思いますが、当時学生だった自分にとっては、出来ないことがわかったことに意味があった。そういう意味で非常にいい経験が出来、100%をつけました。

―やりがい度100%に込めた思いは?
ワークキャンプでは、若者たちが世界中から集まり、地域の人達と自分たちで目標を設定して活動を創っていくので、それが楽しい。自分たちで考えて話し合ってプロジェクトにみんなで取り組んでいく。自分たちも主体的に動いていくから、やりがいがある。だから100%にしました。

―そもそもNICEをどうやって知ったのですか?
大学1回生の終わり頃に、当時通っていた大学が「春休みの過ごし方講座」というセミナーを主催していて、そこでNICEと出会いました。そのセミナーは、ボランティア・留学・ワーキングホリデー等の手段で、海外に学生を送り出す団体の合同説明会みたいなものでした。そこにNICEも参加していて、当時の関西事務局長のひさの(吉井久乃)が来ていた。丁度、海外に出たいという意識を自分が持っている時だったので、タイミングが良かった。

―色んな団体がある中で、なんでNICEに参加しようと思ったのですか?
大きく分けて2つあります。

1つは、一番主体性が求められそうだったから。例えば、語学留学であれば与えられたカリキュラムに沿って行動すれば大丈夫で、受動的になってしまうリスクがあるように感じられた。ワークキャンプの場合だと、プロジェクトを自分で選んで、受入れが決まったらワークキャンプ場所までの交通手段を自分でアレンジし、現地でも自分達で話し合ってプロジェクトを創っていく印象があった。加えて、費用と期間のハードルの低さは魅力だった。ワークキャンプをワーキングホリデーや長期留学と比べた時に、(交換留学を除いて)休学する必要があるし、お金もかかるので、簡単には決断出来なかった。そこで、夏休みや春休みを利用して参加出来る「ワークキャンプ」を選びました。

後は、業者っぽくなかったのがよかった(笑) 他の企業や団体の中には、参加者の成長よりも斡旋の成立ありきで宣伝しているようなものもあると感じられた。反面、NICEはその人のやりたいこと(ニーズ)と、NICEが持っているプログラム(リソース)のマッチングをしている感じがしたのでよかった。

―成長ダイアグラムについて教えてください。
1)       実務的な知識・スキル 5
日本の国際ワークキャンプリーダーとしての経験と、関西運営委員としての活動を通じてかなり鍛えられました。

国際ワークキャンプリーダーは英語でチームを取りまとめ、地元の人達と調整してプロジェクトを進めるスキルが必要で、その経験は今の仕事にも役立っていると感じます。

関西運営委員としては、学生ながらにNGOの運営を経験させてもらうことが出来ました。広報活動の企画・運営全般を任せてもらったり、関西NICEの顔として各種の活動報告をこなしたり。組織の運営や、プレゼンテーションのスキルを磨く事が出来たと思っています。

2)      人・社会とやっていける力 4
NICEの活動を通じて沢山の出会い・交流があり、5にしようとも思いましたが、敢えて4にしました。何故かというと、NICEで得られる繋がりは、あくまでもその価値観に共感する人達、社会的な意識が比較的高い人達の輪でしかないから。社会にはそうじゃない人達もいて、そういう人達も巻き込み一緒に仕事をし、社会生活を送る必要があるので、4をつけました。同じ志を共有出来る人達同士での交流は楽しいですが、本気で社会を変えようというのであれば、自分達のコミュニティの一歩外に出る必要があると思います。

3)       自分でやっていける力 5
特に初めて参加したワークキャンプ(フランス)では、本当に鍛えられたと思う。海外経験がない上に、現地まで1人で行かないといけない。しかも現地で日本語が通じる訳ではない。慣れてしまえばどうってことないものだと思いますが、当時の自分にとってはとても大きな壁でした。その壁を乗り越えられた時に、大きな自信を得ることが出来ました。

ワークキャンプのリーダーをやった時は、英語で地域のベテランの方々と外国人をつなぎ、プロジェクトを進めていく必要がある。チャレンジにチャレンジを重ね、少しずつ乗り越えてきました。「あのワークキャンプを乗り越えられたから、今度大きな壁にぶち当たっても超えていける。」って思えるようになったことが、今の自分に前向きさを与えてくれていると思います。

4)       進路・目標 5
ワークキャンプでの経験・出会いがきっかけとなり、自分の進路の方向性が見えた為、5としました。

これまでのワークキャンプ経験のなかで非常に印象に残っているのが、フランスで出会ったドイツ人の学生(薬学専攻)との会話。その子と将来の夢について語り合っている時に、「僕は新薬の開発に携わり、難病を治していける人間になりたい」と、凄く自然に言っていました。当時の自分にとって、大きな衝撃だった。自分の夢について自然に語ることの出来る日本の学生は、少なくとも自分の周りにはいなかったから。

「世の中のために働く」という視点に大きな刺激を受けて、日本に帰国した後、自分の人生の在り方について深く考え始めた。世の中の為に仕事をするにはどういった手段があるかを考える為にも、世の中の課題に目を向けて、国際協力とかサステナビリティに関するな活動に関わるようになった。その中で、NPOやNGOの「世の中を変えていこうという意識」と、企業が持つ「洗練された経営能力」を融合させたいと考えるようになった。

5)       社会への考えや価値観 5
ワークキャンプに参加するまでは、社会的なことに関心を持ったりする人間じゃなかったんですが、先程の話にもあるように、ワークキャンプを通じて社会の課題について関心を持つようになったこと自体が大きな変化です。

6)       その後の人生に活きた人脈 5
日本に帰ってきてからNICEを通じて出会った人との絆は、本当に貴重です。例えば、NICEのワークキャンプリーダーを合計3回やって、その中でリーダー合宿、担い手の合宿に参加していく中で仲間が出来た。2007年のリーダー合宿のメンバーとは、今でもちょくちょく集まって遊びに行ったりしています。彼らと会うと、自分がどんな状況でも元気になれる。前に向かう力を与え合う関係なんです。ビジネスライクな人脈ではなくて、仲間が出来たということで5としました。

―進路目標のところで、フランスでの経験がベースになって、今の仕事に繋がっていると言っていたけれど、今の会社を選んだのは?
結論から言うと、理念、会社の姿勢に共感した。「世界と共にある企業、社会から必要とされる企業」という理念を、実際の経営・事業展開に落とし込む姿に感銘を受け、自分もそういう組織で働きたいと思った。企業理念に忠実に、他の企業が進出していない発展途上国で事業を展開して雇用を創出・経済発展に貢献したり、新入社員に1年間、海外でギャップイヤーが出来る研修を提供していたり、短期的な利益だけでなく、世の中を長い目で見て、人を育てようという意識・行動に驚いた。目先の人気、知名度ではなくて、自分の場合は、理念や姿勢、哲学的なものを行動に落とし込む事を大切にしたいから今のところに入りました。

―ギャップイヤー研修後、2年間、製造部門と営業部門で働いていたとあるけれど、出向になったのは自分の希望で?
そうですね。人を育てるという経験は、将来を見据えると絶対に必要だと思ったので。

業務内容としては、全寮制の学校に住み込んで、生徒の生活・勉強・自治活動のサポートをするというもので、社内の面接を経て出向することになりました。自分の場合、学生時代から国際的な活動に取り組んでいた事もあり、国際交流の促進や留学サポートといった業務もやっています。

その学校は、日本の企業がお金を出し合って設立した学校で、「次世代のリーダーを育てる」ことを目標としているので、企業の若手社員が中学生・高校生のリーダーシップ教育やキャリア教育に取り組むという活動をしているんです。

―今後の展望について教えて下さい。
将来的には、NPOや社会的企業と呼ばれる組織の成長や、ソーシャルセクターとビジネスセクターの協働を促進出来る人間になりたいです。

自分の人生のミッションは「誰もが夢を追える社会をつくる」というものなのですが、その為には、経済・教育等の機会格差を最小化する必要と、そうした事に取り組む人達、つまりはNPOや社会課題解決型の企業の運営のレベル・規模・連携を向上させる必要があると考えています。そこで、自分が分野横断的に様々なNPOや社会課題解決型の企業の経営コンサルティング、ソーシャルセクターとビジネスセクターの「つなぎ」が出来ればと考えています。

どんな形で実現させるかはわかりませんが、NICEでの活動経験、カナダでのギャップイヤー経験(テーマは北米社会起業家修行でした)、企業で磨いている実務スキル、今の教育活動で得ている学びを上手く融合させ、周りの仲間達と連携出来ればきっとおもしろい事が出来ると確信しています。

―最後にメッセージをお願いします。
NPO・ソーシャルグッドな活動をやりたいと思ったら、色んな選択肢があると思いますが、ワークキャンプは、「感動」に満ちているプログラムだと思います。

ワークキャンプ、インターン、スタディツアー等様々な選択肢がある中で、ワークキャンプがベストと安易に言うつもりはないですが、「筋書きのなさ」はワークキャンプが一番。良くも悪くも、プログラムの内容が厳密にフィックスされていない上、予想外の事が起こり得る。ケニアで井戸を掘るという活動なのに、スコップがないとかね。15人のメンバーでプロジェクトやるはずなのに、5人来ないとか(笑) サプライズが非常に多い。サプライズが多いと何がいいのかっていうと、感動が多いんだよね。必要な道具がない、来るはずの人が来ないといった、驚くような状況を皆で協力して乗り越えた時に、感動が生まれて、それがきっと人生の糧になる。何か響くものがあれば、説明会に参加するでも、一歩踏み出してほしいな。

他には、NICEには、ワークキャンプから帰ってきてからも色んな活動に参加出来る機会があることを伝えたい。NICEプレス(NICEの会報誌)を書いたり、運営委員会に参加して広報や組織運営に関わったり。NICEはワークキャンプ斡旋団体でしょ?と思われている節があるけど、そうではないんです。広報的なアピールが少ない事も原因かも知れませんが、実態としては、ワークキャンプを軸に色んな人が集まって世の中のためにアクションを起こしていける団体。ワークキャンプから帰って来てからもおもしろい、いや、帰って来てからがもっとおもしろいと言えるかも知れない。海外でのワークキャンプから帰ってきたら、是非日本での活動に参加して欲しいと思います。

ワークキャンプの経験を色んな人に話していく中で、色んな気付きがある。6年前のワークキャンプの事を思い出しながら話をしているけれど、自分の経験を人に話すと新しい発見がある。あの時の経験が自分の人生に影響しているんだっていう気付きが。どれだけ時間が経っても「味」がある、凄く貴重な経験になると思う。

2012年4月19日(木)@skype