多田(旧姓:末松)佳子さんの履歴書。

2012/10/12

多田(旧姓:末松)佳子さんの履歴書はこちらをご覧ください。

学生時代に国際ワークキャンプ・3か所(タイ、ドイツ、日本)に参加、仲間と共に立ち上げたSSP(Sister School Project=姉妹学級プロジェクト)の活動には10年経った今も関わり続けている、多田(旧姓:末松)佳子さんにお話をお伺いしました。

満足度100%、活動のやりがい度100%の数字に込めた思いは?
参加した国際ワークキャンプ自体の評価ではなく、そこでの経験をその先に活かすことができたという意味で、満足度もやりがい度も高いですね。私の中では今も活動を続けているSSPの存在が大きいです。この活動を通じて、自分で何かを成し遂げる自信や行動力をつけることができました。SSPに出会えたのも、タイの国際ワークキャンプに参加したからですし、後からじわじわそこでの経験が活きているので100%をつけました。

SSP(Sister School Project=姉妹学級プロジェクト)について教えてください。
2003年、あじぼねというNVDA(アジアボランティア発展ネットワーク)のミーティングの中で生まれました。NICEと繋がりのあるBWCA(バングラデシュ)の運営する小学校(アブドゥール・ガフ・シカ・シビール)と日本の公立小学校(渋谷区)を姉妹学級として結び、国際交流の機会を子どもたちに提供する活動としてスタートしました。その後JICAの協力の下、TV電話(JICA-net)を利用した交流をバングラデシュと北越谷の小学校で行ったり、2010年にはバングラデシュの子ども達を日本に招へいし、念願の直接交流も実現したりと、活動を継続しています。

多田さんは立ち上げからずっとSSPに関わっているんですね。
そうですね。自分達が考えて企画したことで、子ども達がすごい笑顔になる瞬間があるんです。自分が動くことで、人のワクワクにつながる時の嬉しさが病みつきになってしまって、もう10年近いお付き合いになります。こうしたらみんながワクワクするんじゃないかと思うと、次もどんどんやりたくなってきます。

学生時代の活動の多くは立ち上げては消えて…というものが多いと思うのですが、SSPは今も活動をしっかり展開していらっしゃいますよね。活動を継続的に、また広がりを持って展開するための秘訣はあるのでしょうか。
日本での小学校授業が平日にあること、またバングラデシュの小学校に約2週間行くことから、基本的に小学校授業は学生が中心となってやってきていました。そのため、毎年リーダーや主要メンバーが代わっていくという中で、各年代のメンバーが大切に活動を作ってきたことが継続出来ている一番の理由だと思います。ただ、私たちの代が社会人になるときに、児童養護施設での活動を立ち上げ、そちらを社会人メンバーで運営する、という体制になりました。そのため、学生と社会人メンバーで助け合える体制になれたことは大きかったかと思います。今はメンバー不足と小学校での授業が土曜日に実施出来るようになったことで、小学校の活動一本に絞って、学生と社会人が連携して活動しています。
また一緒に活動を創っているメンバーには想いや行動力がある人ばかりです。人に恵まれましたね。そういう色んなよい縁が繋がって、今も活動を続けることが出来ているんだと思います。もちろん、悩みもありますよ。最近は新規メンバーを集める広報ができていなかったので、特に学生メンバーが足りません。何とかメンバーを増やして、新旧メンバー一緒になってこれからも活動を続けていきたいと思います。

成長ダイアグラムについてお伺いします。NICEの活動を通じてついたチカラについておしえてください。
1)    実務的な知識・スキル 3

国際ワークキャンプは2週間の活動でしたので、この期間で得られる実務的なスキルは大きくありませんでした。

2)    人・社会とやっていく力 4
国際ワークキャンプは共同生活です。人とどうやって生活するか、活動するかが重要になります。そこでのやり取りを通じ、悩んだり考えたりしたことが、後々生きているなと思ったので4をつけました。

3)    自分でやっていける力 5
国際ワークキャンプは、自分次第だと思います。ある意味、手を抜いたとしても誰も責めないですよね。がんばることも怠けることもできる。私の場合、せっかく関わるんだったら積極的になろうと思いました。自分で調べ、考えて、意見し、動いていくというのを実践してみると、自分の力で想いを形にできることがわかりました。動けば動くほど、その活動から得られるものが見えたので、自分もどんどん積極的に携わるようになりました。

4)進路・目標 4
直接的な進路・目標が見つかったわけではありませんが、普段と全然違う経験をしたことで、気づいていなかった自分の好きなこと、得意なことが見えてきました。自分のこの先の人生を考えた時に、そういう好きなこと、得意なことを大切にしてあげようと思ったので進路も少し変わったかなと思い、4をつけました。

5)    社会への考えや価値観 4
考えや価値観ががらっと変わったわけではないですが、意識が向くようになったという意味で4 としました。日本人だけではなく、色んな国のメンバーと連携することで、こういう価値観があるんだって見えましたね。各国の兵役の話し等、あまり気にしていなかった社会の事にも目が向くようになりました。そういうやり取りを通じて、日本ってこういう側面を持った国なんだって気付くこともありました。

6)    その後の人生に活きた人脈 5
この項目が一番です!SSPの活動を一緒に創っているメンバーとの絆は深いです。10年ほどの付き合いになりますが、今でも最低月に1回は会っているんですよ。ボランティア活動って継続が難しいと言われますが、みんなと一緒だから頑張れています。

大学卒業後、富士通株式会社に入社をされたんですね。現在のお仕事について教えてください。
海外拠点も含めた、グローバルな人事施策を企画して実行までをサポートする仕事をしています。海外拠点の人事施策をどう進めていくかというのにも携わっています。普段のコミュニケーションは英語も用いますが、日本側との調整があるので日本語での仕事が多いですかね。

国際ワークキャンプでついたチカラが、現在のお仕事に役立っていることはありますか。
国際ワークキャンプや留学などで、人は一人ひとり違うということを実感できた経験は、今に活きていると思います。違うというギャップが日本人同士だとあまり大きくありませんが、海外の人だと大きい場合が多いです。国際ワークキャンプ等で、その違いに直面した上で、どう受け止めて、どう次に切り替えていくか考え動く、という経験をさせてもらいました。現在の仕事をする上でも、相手を理解して一緒に何かをする上でその経験が役に立っています。例えば、現在の上司はイギリス人ですが、違いを受け止める経験のおかげで、ぶつかることなく仕事に取り組めていると思います。

また初めて参加をしたタイの国際ワークキャンプは、初海外、一人旅でした。バンコクで国内線を乗り換えられたとか、英語も通じないところで道を聞くことができたとか、小さいことですが、自分にとっては大きなことを一つ一つ乗り越える経験ができました。その一つ一つの経験が、小さな自信につながり、やったことのないことでもやろうと思えばできるんだということを実感することができました。

今後の夢や展望を教えてください。
直接的な道が見えているわけではないですが、世界の子ども達を繋いでいきたいです。今の仕事を続けていれば、それが実現できるのかは微妙ですが、自分がハブ役になって、子ども達が繋がって、子どもの笑顔が少しでも増えていけばいいなと思っています。

最後にメッセージをお願いします。
「やっちゃえーーーーー」
やってみてほしいなというのが一番です。まだ参加したことがなくて、NICEのホームページやこの履歴書を見ているのでしたら、悩むより参加をしたらいいと思います。もちろん、日程や金銭的に厳しい場合もあるかもしれません。でもそれらを理由にやらなかったら、後悔すると思います。もちろん活動によってはあまりよい思い出が残らない場合もあるかもしれません。でも10年後に振り返ってみたら、その時良くないと思っていた経験も活きてくる瞬間がありますよ。時間がたっぷりある学生時代。今しかできないことを思いっきり取り組んでください。

多田(旧姓:末松)佳子さん
2012年9月26日(水)@新橋
聴き手:瀬口祐樹