倉本祐樹さんの履歴書。

2012/08/21

※履歴書はこちらからPDFで見ることができます。


アパレル販売員の仕事を辞めて、中長期ボランティア@インドに参加し、その後「若者自立塾・栃木」の職員として活躍。現在は、2tree café@栃木県宇都宮市西原地区で人と人とをつなぎ、丁寧な暮らしを営んでいる倉本さんにお話をお聞きしました。

―NICEを知ったのは?
履歴書にも書きましたが、友人が旅で撮った写真を見た時に、世界の知らない場所にもう一度身を置いて、自分がこれから暮らしていく中で大切にしたいことを見つけたいと思いました。それで、海外ボランティアを探していたら、検索でNICEがヒットしたんです。もともと、3カ月くらいのスパンで行けたらいいなと思っていました。NICEの中長期プログラムは2カ月以上から参加できるプロジェクトなので、参加を決めました。なかなかそういうプロジェクトをやっている団体が他には見つからなかったですね。

―インドの中長期ボランティアでの活動で、満足度85%、活動のやりがい度100%とつけていただきましたが、この数字に込めた思いは?
実は現地に行ってみて初めて分かったんですが、予定していたプロジェクトとは別のプロジェクトが用意されていました。元々は親と生活ができない子どもたちがいる施設でのボランティアだったのですが、ハンディキャップを持っている子どもたちが通う学校で人手が足りないのでそこで活動してほしいと言われました。もちろん驚きましたし、心構えができていなかったので、手探りの状態で活動が始まりました。もっと事前の勉強や知識を持っていたら、授業や子どもたちのケアプログラムをもっといい形でサポートできたなと思ったので、満足度は85%としました。やりがいはとてもありました。勉強になったこともたくさんあります。改めて振り返ってみると、プロジェクトは変更になったけれども、2カ月間活動できてよかったですね。

―「これからの暮らしていく中で本当に大切にしたいことを見つけたい」という気持ちで中長期ボランティアに参加したとお話いただきましたが、実際に参加をして、これからの暮らしのイメージは固まりましたか?
そうですね、同じ世代の人たちでもっといい形の社会を創っていくために、フィールドを持ちたいと思いました。履歴書にも書きましたが、「環境」「共感」「つながる」というキーワードを軸に、もっと生きることに前向きになれるようなフィールドです。

中長期ボランティアから帰国してすぐは、まだ場所を移して何かを始めるための身の回りの準備が整っていなかったので、岡山の実家に戻りました。フィールドを創るための準備期間として、お金をためるために働いていました。ちょうど帰国してから1年くらい経った時でしょうか。東京に遊びに来た時に、よしさん(NICE元専従職員、現NICE理事。NPO法人苧麻倶楽部事務局長)と会う約束をしていたんです。ちょうどNICEプレス(会報誌)を発送する日だったので、事務局に来て終わるまで手伝ってほしいといわれました。それでNICE事務局に足を運んだんですね。そこで「若者自立塾・栃木」でもう一人マンパワーが欲しいと考えているんだけど、一緒にやってみない?と声をかけていただきました。それで栃木に移ることになったんです。そのご縁を頂いてなかったら、今ここ(栃木)のフィールド(2tree cafe)を見つけることはできなかったでしょうね。

―フィールドを創りたいという思いから、2tree caféを創り、次の10月で3年が経つということですが、いかがですか?
初めに想像していたよりも、いい形になってきているのかなと感じています。だいぶ腰を据えて、仕事ができるようになってきました。社会に出る前のウォーミングアップをする場として、カフェでインターンシップの受け入れを行っています。お店をやりながら、同じ世代の人と夢や目標を共有できるのが嬉しいですね。ある意味、色んな人がこのお店にはいるので、ワークキャンプ的な生活をしているかもしれません。

インターンシップで受け入れている人は、何かしらの理由で社会に出られない人もいますし、地域の中でお店を持つという夢を持っている人もいます。最近は、会社勤めをしていた40代の方が、ソーシャルな場を創りたいということでインターンとしてきています。小規模なんですが、色んな人と一緒にこの場所を創っています。

もちろんお客様がいてこのカフェは成り立ちますので、お店の経営とソーシャルな活動のバランスを見つつ働いています。

―今後の夢や展望は?
2tree caféは地域の中で、小さな形で動いているお店です。色々な繋がりができ始めていますので、その繋がりが社会にとっていい形で働けばと思っています。例えば、現在、NPO法人トチギ環境未来基地が、いわきに苗木を植え、地域を再生させるプロジェクトを行っています。このトチギ環境未来基地には、お世話になったたつやさん(元NICE職員、現NICE副代表、トチギ環境未来基地代表理事)がいます。カフェでは、地域で活動するライブを開催しているんですが、そこで活躍する音楽家の方々に一曲ずつ書き下ろしていただき、CDを作ることにしました。そのCDの売り上げを、いわきの苗木プロジェクトに贈りたいと考えています。地元のアーティストの応援と、地域で頑張っている人たちの応援。そんなお互いが幸せになれるつながりを、紡げたら嬉しいですね。

自分たちが生活していくのに望ましい環境を、身近なところから作っていくのが夢です。

自分たちのやっていけることの足元を見ながら、これからも動いていきたいですね。

―NICEの経験を通じてついたチカラについて教えてください。
生活力ですかね。自活力かな。前は身の回りにあるものがふとなくなったり、道具がなかったりするとひやっとすることがあったけれど、今は自分で作ったりとか、逆に道具や物がないほうがいいんじゃないかって思うようになりました。便利なものがあればもちろん助かるけれど、ないのであれば、そこの生活に適した形で自給したり、工夫したりすればいいんだって考えられるようになりましたね。

あとは、表現が固くなるけれど、コミュニケーション力が上がりました。人と人との繋がりや縁を大切にしていくという意識を持っていませんでした。でも中長期ボランティアに参加をして、そこで出会った方々とこれからも繋がって行きたい、このご縁を大切にしたいという気持ちが生まれました。一期一会ですね。

―最後にメッセージをお願いします。
自分にもいいきかせていることかもしれないですけど、やりたいと思っていたらやるときなんじゃないかなと思います。自分になるだけ正直になったほうがいいことがあるんじゃないかと思います。正直にお互いなりましょう。がんばりましょう。きっといいことがありますよ。

2012年6月12日(火)21’30-@スカイプ