経験者・NICEスタッフから「こんな人におススメ!」

* 建築・環境に興味がある人
* エコ、持続可能性に興味のある人

ワークキャンプ情報
コード IAL/
ワークキャンプ名 Living Permaculture
日程 2016年
開催地 Gotland 島Suderbyn
Gotoland島はとても豊かなところで、島にあるVisbyという都市は1995年に世界遺産にも登録されている。開催地となるSuderbynはVisbyから8kmほどにあるところで海岸寄りだが島の真ん中あたりに位置している。周囲には石器時代や鉄器時代の面影が残っている場所となっている。
分野 建築・環境
参加者 8人
背景 SCI(フィンランド(1)参照)のスウェーデン支部。1936 年に活動を始め、連帯感溢れ、非暴力と相互理解に基づき、環境と調和した多文化社会作りに取り組む。
2008 年に持続可能なライフスタイルをコンセプトに設立されたコミュニティでの活動。5ha のエコヴィレッジ作りに励んでいる。2 人の長期ボランティアを含め10 人が共に古民家で生活を共にしながら家畜の世話や共有菜園を行っている。夏になると国内外から多くの訪問者が訪れる。
ワーク ワークはそのコミュニティの日々の生活に直結したもので、参加者は家の維持に関する仕事や有機農業や料理といったことを行う。また、持続可能性やコミュニティライフについての経験や知識を学び、持続可能な農業の実践を行っていく。
宿泊 テント泊。寝袋必須。
自分のテントを持ってきても構わないが、その場合はキャンプリーダーにしらせてほしい。
トイレは汲み取り式で、シャワーは屋外に設置された簡素なものを使用する。
食事について、もし何らかの理由で規定のものしか食べられない場合は連絡してほしい。
料理はボランティアメンバーで自炊を行いっていくが、コミュニティの住民と一緒に作る場合もある。
地図
募集情報
その他の企画 海や湖での水泳、周辺都市への観光など
追加登録費 なし
空港 Visby Airport(ヴィスビー空港)
ビザ 不要
資格 英語初級以上
備考 子ども連れで参加可能
トータルでかかる費用
参加費用に含まれるもの

39,000円(初参加の場合)

《宿泊費・食費は無料》
参加期間中の宿泊・食事や作業などに必要な交通・器具は、通常開催地が無料で提供します。払った分だけの宿泊・食事などが提供されるとは考えないでください。

参加費用に含まれないもの

旅費

現地集合現地解散のため、航空券は、自分で好きな所で申し込みます。

海外旅行傷害保険

必ず全員、海外旅行傷害保険に加入ください。NICEが提携しているTravel Safety Planに加入をおすすめしています。
(例)MFスタンダードプラン 15日まで5,500円、18日まで6,000円、22日まで7,000円

追加登録費

このプログラムは、追加登録費はかかりません。

他の個人的費用

- 事前・事後の自由旅行
- 参加期間中の個人的費用
- パスポート取得代
- 必要な場合、ビザ手数料

過去参加者からの声 

お名前
S.Aさん(女性)
参加当時の年齢
20代(大学3年生)
参加期間
2015年8月10日~8月23日
メンバーは?
10人…日本人1、、イタリア人4(家族)、スペイン人2、チェコ人1、スウェーデン人2(リーダー)
費用トータル
約140,550円
 参加費用37,000円
 旅費77,000円
 海外保険13,000円
 追加登録費0円
 個人的費用8,050円

私はボランティア参加前後に個人旅行をしました。計1ヶ月ほど現地に滞在したので保険費用が割高になってしまいましたが、ボランティアのみの滞在であれば1万円以内におさまると思います。活動中は本当にお金を、というよりも携帯以外に文明機器を殆ど使う機会が無かったので、費用は自由時間の過ごし方によるところが大きいです。留意して頂きたいのは、スウェーデンは税金が非常に高額であるため、比例して物価も日本と比較すると非常に高い点です。また基本的に北欧はカード社会なので、クレジットカードは1枚はもっていないと不便を感じることも多いかもしれません。私はNICEで案内された通りにキャッシュパスポートをつくりましたが、旅先で本当に便利でした。

集合場所までの行き方は?

東京/羽田空港→Doha/ Hamad International Airport→Stockholm/Arlanda Airport→Nynäshamn(送迎バス/オプション)→Gotland/Visby(フェリー)→Suderbyn1(ローカルバス)

 ゴットランド島ヴィスビー港からバスで30分ほどの、ボランティア活動場所に現地集合でした。首都ストックホルムからはバスとフェリーを乗り継ぎ4~5時間ほどです。私はボランティアが始まる前にストックホルムを少しでも観光したかったので、開催2日前の7日夕方頃ストックホルムに到着し、翌日を丸一日観光に費やしてから開催場所であるゴットランド島に向かいました。集合時間は開催初日10日の正午頃と決して早くはありませんでしたが、ストックホルム発の送迎バスが5:45発と早朝であること、また万が一の事態も考慮し、私のように現地に前泊しておくことを強くおすすめします。
 まずゴットランド島までは、ストックホルム駅の裏側にあるシティ・ターミナルからバスで1時間、ヴィスビー(Visby)行きのフェリーが往来しているニーネスハム港(Nynäshamn)に着きます。うとうとしていると結構あっという間です。そしてニーネスハム港からフェリーに乗り込み、約3.5時間ほどでヴィスビー港に到着します。ゴットランド島の主要港ヴィスビーからは、ローカルバスで30分ほどです。
 航空券やフェリー等のチケットの手配に関しては、殆どのものが日本から予約出来ます。北欧はカード社会なので支払いはクレジットカードがメインになりますが、出来るだけ早いうちに予約しておくことをおすすめします。早ければ早いほど早割などの割引が効き、特に航空券は大幅に安い値段で購入が可能となります。私はボランティアの受け入れが確定した4月の時点で航空券をインターネットで購入しました。まだ現地からの英文案内状が届いていませんでしたが、開催日程に大幅な変動が見込まれない限り、またお金と時間に余裕があるのならば、ぜひボランティアの前に現地の空気を満喫してみてください。毎年8月の第1週はヴィスビーで“Medieval Festival”という、現地の人々が中世の格好に扮するお祭りが開催されているので、時期が合えば参加することも出来ます。1年に1度だけ、1週間限りのお祭りです。Don’t miss the chance!

生活について<自由時間>

 最も印象的に残っているのはサイクリングです。バスの本数が少ないため、どこへ行くにも自転車でした。島の中心都市ヴィスビーへは自転車で30分、島北部のファロと呼ばれる奇岩地帯と灯台を巡るサイクリング2時間、そして最もよく遊びに行ったのはSuderbynから自転車で10分という素晴らしいロケーションにある海岸です。
 正直私は、自転車に上手く乗れるかどうか自信がありませんでした。なにしろ地元東京では交通網が発達してくれているおかげで自転車に乗る機会は殆ど無く、過去10年は乗っていなかったと思います。乗った自転車が古かったのも相まってか、ブレーキが利かずメンバーに追突するわ、停止する際に転倒するわで、なかなか至難の業でした。しかしメンバーの気遣いのおかげで、最終的には何の問題も無く、昔の勘を取り戻すことが出来ました。メンバーの懐の深さには、感謝してもしきれないくらいです。
 訪れたVisbyとFåloは素晴らしい街です。Visby(ヴィスビー)はストックホルム同様、ジブリ『魔女の宅急便』の舞台の1つとなった街であり、城壁の中に位置する家々の統一されたオレンジ色の屋根を眺めていると、まるでキキが実際に飛び回っているような気がしてきます。同市は世界遺産にも登録されている、ハンザ同盟都市として栄えた街で、13世紀につくられた、17の教会の廃墟と、3.4kmにわたる長い城壁がその歴史を物語っています。ボランティアのリーダーの1人がヴィスビー在住だったので、彼女の住むアパートにお邪魔した後、街を案内してもらいました。
 一方Fåloは、海岸に幾つもそびえる、異様な形相の奇岩地帯です。Suderbynから全ての行程を自転車で向かうのはさすがに距離がありすぎるので、いったんVisbyに出てからバスで近隣まで移動し、付近で自転車を借りて向かいました。数時間のサイクリングでしたが、林の中を自転車で駆け抜けるのは本当に爽快でした!灯台に着いた後は途中海岸に寄ったりして、スペイン流の昼寝休憩“シエスタ”を満喫しました。スウェーデンはどこを撮っても絵になる、本当に美しい場所です。

活動レポート

 “sustainability”(持続可能性)をテーマに、自然との共生に焦点を当てた活動です。簡単に言うと、“究極のエコ活動”といったところでしょうか。
 活動は月~木、午前9時頃~午後4時頃までで、金曜から週末は自由時間です。一日6時間労働と話には聞いていたので、ある程度覚悟していたのですが、実際は4時間ほどだったので思ったほど重労働に感じませんでした。途中昼休憩に加え、“フィーカ”と呼ばれるスウェーデン独特のコーヒーブレイクが午前午後合わせて2回ほどあります。
 仕事内容は具体的に言うと、窓枠の修繕・塗装、コンポスト作り、ハーブ収穫、ジャガイモ掘り、ミツバチの巣箱に用いられているフレームの洗浄、エコ・セメント作り、壁の塗装などです。こうして列挙するとなんだか楽しそうな、ほのぼのとした活動に見えるかもしれませんが、真夏の焼け付けるような日差しの中で行うとなると想像以上に疲れます。いつも、昼休憩とフィーカの合図のベルが鳴り響くのを待ち遠しく思っていました。
 活動内容で一番印象に残っているのはコンポスト作りと植物への水遣りです。ただの水遣りではありません。備え付けのオリジナルトイレに溜めてある人尿を水で薄めたものです。確かに栄養価が高いのは理解出来ますが、これにはカルチャーショックを受けました。ジョウロに満タンに入ったスペシャルウォーターを靴にこぼさないように必死に運んだのをよく覚えています。コンポスト作りは、新鮮な雑草と枯れ草・そしてこれもまたオリジナルトイレに溜めておいた人糞を交互に積み上げ、最後に水をかけて整形し、日光によって発酵させる作業です。かなりの重労働ですが、皆で交代で行えばさほど労力を要しません。
 ボランティア活動は上記の通りですが、毎晩夕食後にイベントが企画されていて、ボランティア内容に関するワークショップも数回行われました。SVCが行っている取り組みや活動内容へのフィードバック、そして自分がこのボランティアに参加した動機などについて皆で意見を交換しあい、非常に有意義な時間を過ごすことが出来ました。

経験者からのメッセージ<プログラムから得たもの>

 私にとっては何もかもが初体験の旅でした。初めての一人旅、初めての北欧、初めてのボランティア、初めてのキャンプetc.. 全てが新鮮に感じられ、2週間は飛ぶように過ぎていきました。
 参加を決めた一番の理由は、大好きなスウェーデンで開催される唯一のボランティアプログラムであることと、渡航費用の安さです。元々は大学在学中の長期留学を検討していましたが、経済的な面であえなく断念しました。しかし就職活動が本格化する前に『日本から遠く離れた異国で、英語力のみならず自己の可能性そのものを試したい』という夢はどうしても捨てきれず、なんとか費用を抑えて出来る限り長く滞在できないものかと模索していた頃、NICEに出会いました。様々なプログラムを見てきましたが、2週間食事・宿付きで40000円を切るというのは他に類を見ない破格です。即応募を決めました。
 大学3年の夏は一度きりしかありません。周囲では就活に備えて長期インターンシップに参加する友人もちらほら、参加していなくとも熱心に企業研究やwebテスト・適性検査対策を始める友人も多くいました。むろん私はその一ヶ月間を北欧で過ごしたためそのようなことは一切出来ませんでしたが、参加に関しての後悔も一切していません。むしろ参加によって、今まで漠然としていた自分の“軸”というものがはっきりした気がします。現在の私の目標は“通訳案内士”の資格を取得し、1人でも多くの諸外国の人に、漫画・アニメだけではない“本当の日本”を理解してもらうことですが、今回の旅で“自国のことを分かっているようで、全く分かっていない自分”という事実に気付けたことが、今のモチベーションに繋がっていると思います。
 また、今回参加したプログラムを通して、自分がいかに恵まれた境遇にあるかを再認識しました。大量のエネルギーと引き換えに自然界を「支配」することによって、清潔で管理の行き届いた、人工的で利便性に富んだ「クリーンな環境」に囲まれ、自らが作り上げたルールに捕われて動けなくなっている現代社会。私達は一体何者なのでしょう。元々は自然の一部であったはずなのにいつの間にかピラミッドから逸脱し、自然と「共存」、そして現在は「自然に優しいエコロジカルな社会」が美徳とされています。先ほど私は、このボランティアを“究極のエコ活動”と述べましたが、“エコ”という言葉が持つ真価を、私達は軽んじすぎているのではないか。ふと、そんな疑問を抱きました。小綺麗な文明社会においては、私達人間も自然の一部であるという事実を完全に忘れ去っているだけでなく、私利私欲にとらわれ、人生の楽しみ方を誤解してしまっているのかもしれません。「生きていくうえで、それほどお金は要らない。」ボランティアで出会った母体コミュニティのメンバーの言葉ですが、とても印象的でした。
 このボランティアを通じて、人生観が大きく変わりました。課題やアルバイトに忙殺される中で忘れかけていた、人生における最も大切なこと“好きな人と好きなことをして、毎日を楽しく心地よく暮らすこと”に気付くことが出来ました。たった2週間、されど2週間です。毎日が新しい発見の連続です。迷われている方も多いと思いますが、迷う時間があるくらいなら今すぐにでも参加してください。断言します。後悔はありえません。濃密で発見と出会いに満ちた素敵なボランティア活動を楽しんでください!