伊藤美菜子さんの履歴書。

2012/08/20

タイに出会ったことが、人生に大きく影響!
伊藤美菜子さんの履歴書。

名前
伊藤美菜子さん
性別
女性
年代
28才(インタービュー当時)
属性
鉄鋼会社、ITサポート
参加国
タイ、メキシコ、インド、モンゴル、日本

活動の満足度99%、やりがい度100%に込めた思いは?

満足度99%は、それぞれのワークキャンプで自分としてはがんばっているつもりだし、それぞれでいい出会いもあったし、満足しているんだけれど、満足度100%になったら、ワークキャンプおなか一杯、ワークキャンプもういいやってなっちゃいそうで。まだ行きたいって気持ちが残ってるから、1%を残しているんだよね。機会があれば行きたいなって。

やりがい度が100%なのは、毎回全然違う場所で、全然違う人に会って、全然違うことをして、行く先々で新しいことを自分が吸収している、勉強できているっていう意味。正直直接どれだけ地域に貢献できているかはわからないけれど、自分の成長だったり、自分の吸収したものっていう意味で考えれば100%。毎回、本当にいいものを吸収して帰ってきているなと思ったので、そういう意味でのやりがいで付けました。

成長ダイアグラムについて教えてください。

1. 実務的な知識・スキル 3
「実務」をどう理解するかだと思うんだけど、私は「実務=自分の専門性」ととらえたのね。例えば、看護師になりたい人が医療系のワークキャンプに行くとするじゃない?そうやって、自分の専門分野に関係あるワークキャンプへ行けば実務的な知識につながると思うんだけれど、私自身は自分のスキルを高めたいと思ってワークキャンプに行ったわけでもなかったし、そこでやったことが直接今の仕事で活かせているわけではないと思ったので3としました。

2. 人・社会とやっていく力 4
新しい人に会う場に、場馴れしたと思う。大体、どんな場所に行っても初めて会った人に自己紹介とか、英語でちょっとした話もできるようになったしね。だから新しい人に会うということは慣れたかなと思ったので4としました。

3. 自分でやっていける力 3
元々ワークキャンプに行く前から一人暮らしをしていたのもあるし、ワークキャンプへ行ったからすごくたくましくなったかと言われれば、そうじゃなかったなと思って。もともと自分で考えて自分から動いていくことを意識していたので、3としました。

4. 進路・目標 5 10をつけたい!
履歴書にも書いたけれど、たまたま行ったタイがものすごく楽しかったし、タイが好きになったんだよね。このままずっとタイに関わって生きていきたいなとワークキャンプの時に思った。それが19歳の時ね。なんだかんだ紆余曲折あったけれど、あれから10年くらい経つ今でもその気持ちは変わってなくて、実際に今本当にタイに関わる仕事をしているという意味では、初めてのワークキャンプで感じたことが今の人生の目標になってきたので、そういう観点での「進路・目標」であれば10をつけてもいい(笑)。

5. 社会への考えや価値観 4
メキシコのワークキャンプへ行ったときに、村で空き家借りてみんなで住んでいたのね。村自体は裕福な所ではなかったんだけれど、そこの子ども達が朝起きたら学校へ行って、帰ってきたら友達と遊んで、家族とご飯を食べて、近所の人もかわいがってくれて、そういう子どもを見て、確かに日本の子どもと比べたら使えるお金は少ないかもしれないけれど、でもたぶんこの子たちのほうがよっぽど幸せだなと思ったんだよね。受験とかで変にぎすぎすした雰囲気もないし、不健康そうなところがなかったの。所謂子どもらしいというか。その時に、幸せってお金じゃないんだな、お金がすべてじゃないだなと感じたことを今でも覚えていて印象に残ってます。そういう、幸せに関する価値観はその時に新しく得るものがあったので、4をつけました。

6. その後の人生に活きた人脈 4
これまでのワークキャンプで知り合ったメンバーで、今でも連絡を取り合っている人は日本人も外国人も含めてたくさんいるし、Facebookでもつながってます。特に、2005年の和束のメンバーとはつながりが強いと思う。ずっと付き合っていける友達がたくさんできたのは、得たものとして大きいかな。

進路・目標のところで10をつけてもいい!とおっしゃっていましたが、そもそも、なぜタイなのでしょうか?

全部偶然の力なんだよね。人生でうまく行くときって、事前にすんごい考えて、すんごい計算してやったことよりも、思いつきでやったことのほうが後々大きく良い方向に影響することってあるなと思っていて、タイなんてその最たるもの。履歴書の志望動機にも書いたように、タイを選んだのにも特にはっきりとした理由はなく、ほとんど思いつきだった。けれど、振り返ってみればタイでの経験がその後の人生を決定的に方向付けてます。

元々、9.11をきっかけにイスラム教に興味を持っていたんだけど、タイのワークキャンプで訪問したのがムスリムの村だったの。実際に、アジアの中のイスラム教の人達に出会って、自分が興味を持っていたイスラム教という環境の中で生活をしたっていう経験ができたからタイが一番印象に残っているんだと思います。

それと、昔から英語が好きで勉強してはいたんだけど、それまでは実践の場で英語を使ったことが全然なかった。この時のワークキャンプには日本人5人、外国人15人が参加していたので会話では英語を使うことが多かったので、その時に「英語を話せたらこういう風に外国の人とコミュニケーションが取れるんだ」っていう感覚を知ることもできた。

こうやって自分がバラバラに持っていた興味・関心が実体験を通じてひとつに結びついたのがタイだったのね。

ちなみに、新卒の就職の時になぜメーカーを選んだのかと言われれば、それもタイがきっかけ (笑)。バンコクの空港や駅へ行った時に、日本の家電(ソニーやパナソニック)の看板とか商品ががたくさんあったのを見かけたの。車やバイクもそう。日産やホンダが街に溢れていた。その光景を見て、日本のモノ作りはすごいって社会の授業で習ってきたけど、本当に世界に認められているんだなって実感したんだよね。タイで見た、日本のモノづくりの力を知った時の衝撃がずっと心に残っていて、今度は私が日本のブランドを世界に広めていく側になりたいと思ってメーカーに就職しました。

今の自分とワークキャンプでの経験とのつながりや人生への影響度を考えると、やっぱりこの一番最初に参加したタイのワークキャンプが大きいかな。もちろん他のワークキャンプもひとつひとつが楽しかったし、行って良かったと思ってる。

伊藤さんの夢や展望を教えてください。

基本的には今の生き方のまま頑張っていきたいと思っている。なぜなら、転職してやりたいことをやらせてもらってるからね。できるところまで、今のままやっていきたい。ライフイベントももちろんあってほしいけれど、結婚したとしても仕事を辞めることは考えてないし、今の会社で頑張っていくかな。

新卒で社会人になった時に、私はこの会社でずっと働いていくんだって信じていたんだけど、結局状況が変わって転職することにして。その時に、先の事って考えてもわからないし、ちょっとしたことで自分の信じていた道が変わることもあるんだなって感じたの。前職の時は国内向けの営業をしていたんだけど、自分は海外に関わりたいっていう気持ちもあり、その気持ちが強すぎて「もしこのままやりたいことができなかったらどうしよう」って、そのプレッシャーに自分が押しつぶされそうで負けそうだった。でも、転職をして環境が変わって、自分が目指していた仕事に近づけたから、将来をこうしたいっていうよりも、今を一生懸命に、一生懸命な今を積み重ねていきたいから、何年後にどうしようというのは敢えて考えてないかな。一方で、3%くらいの気持ちとしては協力隊への再挑戦の想いもあります。2年前に協力隊を辞退しているから、今仕事で使っているITのスキルを活かせば、あの時の応募時よりは現地により貢献できる活動ができるかなと思っています。

最後にメッセージをお願いします。

ワークキャンプが人生の全てではなく、ひとつの選択肢としてワークキャンプへの参加があると思っています。少しでも興味というか、行ってみたいなとか、おもしろそうだなと感じて、且つ、その気持ちを自分のいる環境や周りの人が許してくれるのであれば、行ってみたらいいと思う。ワークキャンプに行ったらどんなことを学べるかとか、自分にどんなスキルが身に付くかなんてことは行った後にしかわからないんだから。行く前から、行った後のこと悩みすぎるのはもったいない。行こうかな、行かないでおこうかなと悩むくらいだったら、行けばいいと思うよ。先々のことを先回りして考えるのもあんまり得意じゃないし、今その時の瞬間の気持ちで物事を決めた方が、私の人生はうまく回っていく気がするんだよね。

例えば、ワークキャンプに参加するために、どうしてもバイトや仕事を休まなくちゃいけないとか、お金が苦しいから親に参加費を借りなくちゃいけないとか、人それぞれの事情や心配はあると思うんだけど、それを許してもらえるんだったら心置きなく甘えたらいいと思う。後でいくらでも返せるから。どうしてもやりたいことがあって、何か犠牲にしなくちゃいけないとしても、周りが許してくれる限り甘えて進んでいったらいいと思うよ。

何かに挑戦させてもらえることにまず感謝して、その挑戦で自分が最大限のパフォーマンスをすることによって、周りも自分も幸せになれるし、それが自分を支えてくれる人への恩返しというか、感謝の気持ちを伝えるひとつの方法になると思います。

2012年2月25日
聴き手:瀬口祐樹

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