池澤(旧姓:森脇)陽子さんの履歴書。

2012/08/20

人と会うことが大好きに。
池澤(旧姓:森脇)陽子さんの履歴書。

名前
池澤(旧姓:森脇)陽子さん
性別
女性
年代
34才(インタービュー当時)
属性
写真館
参加国
アイスランド、日本

満足度80%、活動のやりがい度80%の数字に込めた思いをお聞かせください。

アイルランドもアイスランドも、ヨーロッパ人の参加者が多かったんです。イタリアやドイツの人達は言葉が通じることもあり、固まっていたんですよね。そのグループの中で日本人は一人。しかも、アジアからの参加者も誰もいなかったんですよ。言葉の壁、文化の壁、乗り越えるべき壁がたくさんありました。アイスランドは特に23人の大きなグループだったので、些細な言い争いも多々あったんです。そういった大変なこともあったんですが、ワークを通じて、最後にはみんなが一つになれました。壊れた工具が全て治ったり、草がぼうぼうな場所が整った公園になったり。みんなで一つのことを成し遂げた時の達成感は参加者全員が感じることができました。色々あったけれど、私達、やりきったね。そんな気持ちを抱けたので、80%をつけました。

そうそう、Google Mapのストリートビュー機能を知ったときにアイスランドを検索したんですよ。私が訪れた町から、記憶をたどって、私たちが作った公園を探したんです。そしたらちゃんと今もあったんですよ!人がいるかどうかは写ってなかったんですが、砂利を敷き詰めたところやベンチらしきものを見ることができました。もうかれこれ10年近く経つんですよね。時が経っても、私たちが力を合わせて作った公園が残っているというのも嬉しかったですね。

アイスランドは社会人になってから参加されたんですね。どうしてまた参加しようと思ったのですか?

大学を卒業してからテレビ番組制作の仕事をしていたんですが、ずっと時間と情報に追われる生活でした。テレビの仕事って時間は関係ないので、忙しい時期は週3日は会社の近くのホテルに泊まって、その他の日は2万5千円くらいかけてタクシーで埼玉の自宅へ帰る生活が続いていました。退職後は全く何もないところで頭をリセットしたい、日本の情報が何もない所へ行きたい、自然の中でゆったり過ごしたいと思い、アイスランドのワークキャンプへの参加を決めました。当時、アイスランドはほとんど情報がなく未知の世界だったので、とても興味を持ちました。

アイスランドワークキャンプはNICEからの日本人初参加だったんですよね?

そうなんです。チケットを購入した後に、NICEからお電話をいただいたんです。今まで送ったことのない団体で情報もほとんどないんですが、それでも大丈夫ですか?って。ちょっと不安もありましたが、ワークキャンプは2回目の参加だったので、どうにか対処できると思って行ってきました。

―池澤さんが、開拓者ですね(笑)。今では、アイスランドはNICEから参加する人が一番多い、とても人気の国なんですよ。

大学卒業後からの経歴を見させていただくと、メディア関係のお仕事を長年務めていたようですが、なぜメディアの世界へ入ろうと思ったのですか?

小さいころから夢はいろいろありましたが、そのひとつに新聞記者がありました。大学在学中に短期留学や国際ワークキャンプなどで外国へ出かけたり、国会議員インターンシップを経験したりと、様々な人と出会い、その情報を伝えるという仕事にとても興味を持ちました。私が就職活動をしていた時はちょうど就職氷河期で地元紙の採用はなく、大手紙はなかなか難しかった。テレビの仕事にも興味があったので、縁あって大学を卒業後、テレビ番組制作の仕事をはじめました。リサーチャーというテレビ番組を作る際に必要な情報を調査する仕事で、番組制作前の情報の下調べをしたり、出演タレントの情報を調べたり、テレビに出てくれる一般人を探したり、業務の幅が広くとても忙しい日々でした。体力的にもきつく、仕事漬けの日々だったので、しばらくゆっくりしたいと思い、頑張れるところまで頑張って、会社を辞めました。会社を辞めてからはワークキャンプに参加したり、旅行を楽しんだり、今まで貯めていたお金を使って自分へのご褒美時間を過ごしました。

結婚を機に家業である写真館の仕事をはじめられたそうですか、家業に入ることに抵抗はなかったのですか?

不安はありましたが、雑誌編集の仕事をしているとき中小企業の経営者のお話を聞く機会が多々あり、経営者の方の自分の会社が好きな精神にとても感化されたんです。家業ならいずれ自分たちの好きなようにできるし、夫婦バラバラで仕事をするよりは、二人一緒で取り組んでいくほうがいいかなと思うようになったんです。

実際に働いてみていかがですか?

とてもいいですよ。仕事も生活も一緒なので、喧嘩もたくさんしますけどね(笑)。テレビ番組制作の仕事も、雑誌編集の仕事も、大多数を相手にする仕事だったので、直接ありがとうと言われることはほどんどなかったのですが、今の仕事は写真を渡す時に「あー、とっても素敵」など反応がすごく身近。人と直接つながる仕事だから、そこに醍醐味を感じています。大変なことももちろんたくさんありますが、とても好きな仕事です。

ワークキャンプ時代に培った力で、今生きていることはありますか?

15年ほど前のことなので、アイルランドのワークキャンプではアジア人を意識させられる出来事もありました。東ヨーロッパの参加者が西ヨーロッパの参加者と扱いが違うと、日本人の陽子はどうなのよ!って感じでいろいろ言われたり、気苦労がありました。でも、少しづつ歩み寄って、最後には分かり合えた。ワークキャンプに参加して、人と会うことに抵抗がなくなりました。人と会うことがとても好きになったんです。誰と会っても、とりあえず話はできるようになりましたね。今の写真館の仕事はお客さまの年齢層が幅広いので、その力はとても役立っています。言葉ができる、できないの問題はあるかもしれませんが、どんな人がきても笑顔で対応できるようになりましたね。

今後の夢や展望はありますか?

これからもこの写真の仕事を続けていきたいですね。今の仕事をできる範囲で楽しくやりたいです。今はまだ立場的に難しいですが、写真とあまり馴染みのない国の人を招待してスタジオで撮影したり、子どもキャンプで参加している外国からの親子の家族写真を撮ってあげたり、写真を通じていつかNICEと一緒にコラボしてみたいなとひそかに思っています。写真ってその人の人生の瞬間を残すものだと思うんです。例えば七五三や成人式などは人生に一度しかないもの。後から欲しいと思っても、絶対に手に入りません。日本に来て、ワークキャンプに参加して、楽しい時間を過ごした思い出づくりのひとつとして、写真が関われたら素敵だなと思います。

成長ダイアグラムで補足があればお願いします。

特に「人・社会とやっていける力」、「自分でやっていける力」、「その後の人生に活きた人脈」がとても影響を受けています。今までで話してないことだと、人脈ですかね。実は妹の佳世(安部佳世さん)もワークキャンプに参加していて、NICEを通して姉妹でつながっている人がたくさんいるんです。ダブルだから余計につながりが強いのかもしれません。佳世が仲の良い友達を紹介してくれたりもするので、さらに輪は広がっています。

最後にメッセージをお願いします。

ワークキャンプに参加する時期は学生だったら特にプラスになると思います。学生は時間の余裕がありますよね。私は短期留学も経験しましたけど、ワークキャンプと短期留学とはそこにいる人たちの層が全く違います。思い出の残り方は、ワークキャンプがとても強いです。メンバーみんなで一緒に生活をして、何かの目標に向かってみんなで取り組むからでしょうか。とても濃い時間なんです。機会があるのであれば、是非参加してもらいたいですね。

あと、1回参加して終わる人が多いけれど、継続して参加することをお勧めします。1回目はつらいこと、大変だったことの方が強かったんですね。でも2回目、3回目と参加していくと、だんだん慣れてきて、楽しいことやもっとこうしたいという想いが生まれてくるんです。面倒見のよい団体もあれば、そうじゃない団体もありますから、1回の経験で「ダメだ」と決めつけるのはとてももったいないと思います。

2012年5月18日(金)@鴻巣市 池沢スタジオ http://www.ikezawa-studio.com

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