田口知枝さんの履歴書。

2012/10/16

田口知枝さんの履歴書はこちらをご覧ください。

16歳の時から国際ワークキャンプや週末ワークキャンプに参加し、事務局ボランティアスタッフや週末・国際運営委員会なども経験している田口知枝さんにお話を伺いました。

高校生の時に国際ワークキャンプ@東京都日の出に参加をされていますが、どこでNICEのことを知ったのですか?
国際ワークキャンプの受入れをしている日の出太陽の家に、叔母が利用者として日の出太陽の家創立以来お世話になっています。そのため小学生の時から、父親に連れられて行っていました。父親と一緒に太陽の家の行事に参加をしているとき、当時のNICEのリーダーの方が、この夏日の出太陽の家で国際ワークキャンプを開催するんですというお話をされました。「なんだ、この面白そうな活動は!」と思って、参加をしたいと思ったのが最初の出会いです。父親に参加をしたい旨を伝えて、私の事を小さい時から知っている職員さん達がいる日の出太陽の家の活動ならいいだろうということで送り出してくれました。

そうだったんですね。初めての国際ワークキャンプは、本当に制服を着て登場されたんですか(笑)?
8月後半から9月上旬にかけて国際ワークキャンプが開催されていたので、後半は学校が始まっていたんです。そのため前半の1週間だけ部分参加をして、最後のフェアウェルパーティーの時は、学校が終わってから駆け付けたので、制服でした (笑)。それから、社会人になるまでに合計13回の国際ワークキャンプに参加しました。

すごいですね。そこまでのめり込んだのはなぜでしょうか。
履歴書にも書きましたが、夢に描いていたような楽しい大学生活を送れず、退学を考えるほどでした。大学に通い続けることを説得され、母親がある提案(?)をしてくました。 「授業に出なくてもいいから単位はとりなさい。1単位でも落としたら、もうどこにも行かせないし、バイトもさせないから、そのつもりでいなさい」というありがたい(?)お言葉。それからは大学へ行く定期よりも、NICEの事務所へ行く定期を買った方がよかったんじゃないかっていうほど、NICEの事務所へ通っていました(笑)。NICEの活動にのめり込んだのは、NICEには色んな考えを持っている人達が集まっていて、積極的に何かをやっていこうとモチベーションの高い人たちと出会えるということが大きかったです。それと、自分が一所懸命やれば活動に進展があったり、事務所スタッフの方々から直接アドバイスをもらえたりと、リアルな成果やフィードバックを感じられる場所でした。国際ワークキャンプだけでなく、週末運営委員会を運営したり、事務局ボランティアスタッフとして活動したりもしました。肌で何かを身に付けられる感覚がNICEの活動にはたくさんあったので、やりがいを感じてのめり込んできました。

そんな活動を通じて、満足度100%、活動のやりがい度100%を付けていただきました。この数字に込めた思いは?
これは、あくまでも「自分に対する満足度」です。ワークキャンプ中、楽しいことももちろんたくさんありますが、辛いこと、体力的にきつくて逃げたくなることもあり、様々な気持ちの変化がありました。リーダーを務めるとメンバーと地域の狭間で葛藤することも多々。グループをうまくまとめられないこともありました。振り返ってみるとそういう葛藤や難しさを経験できるのも、ワークキャンプの魅力だと思います。あくまで自分に対する満足度ですが、様々な経験をさせてもらえたという意味で満足度は100%ですね。もちろん全部とはいいません(笑)。

これも自分に対する活動のやりがい度ですが、このルーティンワークはなんだとか、意味があるワークなのかと感じることもありましたが、自分なりに一所懸命取り組めたと思ったので100%としました。周りから見れば、本当に?って思われていたこともあるかもしれません。だけど、私としてはワークキャンプ中に手を抜いたことはなかったですし、やりがいを持って一所懸命活動に取り組みました。ワークキャンプの最終日に、地域の方に「おつかれさま。来年もまた頼むよ。また来いよ。」と言ってもらえた時に、地域にとっても意味のある活動だったんだな、やってよかったなと思えましたね。

成長ダイアグラムについて教えてください。
1)    実務的な知識・スキル 5
リーダーとして活動をしていたワークキャンプは、みんなの前で話さないといけないので必然的に英語力が伸びましたね。それとリーダーシップやグループをまとめる力はつきました。リーダーシップって色々あると思います。ぐいぐい前に出て引っ張るタイプ、後ろから皆を支えるタイプなど。リーダーという役割を通じて、自分なりのリーダーシップというか自分がどういうタイプのリーダーなのか、一つの小さな組織をどう動かしていったらいいかなど、いろいろ考えるようになりました。また、リーダーになると企画書や報告書なども作成するのですが、学校のレポートとはまったく違うのですごく大変な経験を何度もしました(笑)。当時は一所懸命がむしゃらにやりましたが、今振り返ると良い機会を頂いていたんだなと思います。

2)    人・社会とやっていく力 5
もともと人見知りをするタイプではなかったですが、ワークキャンプに参加したことで積極性が増しました。リーダーは前に立ってお手本とならないといけない場面もありますし、自分から話しかけて輪を作っていけないこともあります。そういう経験を通じて、積極的に人と関われるようになったと思います。
またこれは性格もありますが、自分が発言した内容に対して相手はどう感じるのかを考えるようになりましたね。文化やバックグランドが違う人たちと共通意識を持つためにはどう話せばいいんだろう?と悩んだこともありました。しかし、彼らと一緒に過ごしたことで、自分と違うものを受け入れる柔軟さだったり、新しいものや知らないことに対して興味を持つようになったりと、そういう部分も磨かれたかなと思ったので5としました。

3)    自分でやっていける力 5
自信は今でもあんまりないんですが、行動力は磨きがかかりました。やりたいと思ったら、誰かが一緒にいないとできないということはあまりですね。行きたいと思ったら行きますし、やりたいと思ったらやります。昔から自分のことは自分でやるのよと言われ育てられてきたので、さらに磨きがかかりました。

4)    社会への考えや価値観  4
フィリピンの国際ワークキャンプが、途上国(と言われている国)へ行く初めての機会でした。日本と比べると物質的に豊かではない国でしたので、正直、衝撃を受けました。蛇口から出る水や電気がない生活は初めてでした。 でも2週間過ごしてみると、だんだん生活に慣れてきて物質的に不便さを感じることもなくなり、シンプルな生活をしていても、幸せなんだっていうことに気づいたんです。そうやって意識改革がされて、帰国後も水を大切にしようとか、電気を無駄にしないぞと初めは気を付けながら生活をしていました。でも便利さって怖いですね。2週間暮らした国と20何年間暮らした国とでは、そう簡単に生活をがらっと変えることが出来ませんでした。便利さにまた甘えて、ワークキャンプに行く前の生活に戻ってしまったんです。意識改革はされましたが、価値観がガラッと変わって生き方も全て変わったわけではなかったので、4としました。

5)    その後人生に活きた人脈  4
ワークキャンプで出会った人たちと未だに繋がっていることが大きいですね。かれこれ10年前のワークキャンプに参加していたドイツ人の友達や韓国人の 友達 と未だに連絡を取り合っていて、誕生日やクリスマスにはプレゼントを贈りあったりしています。あの時ワークキャンプへ行ってなかったらこういうつながりって、縁ってなかったんだろうなと思ったら、参加して本当によかったと思います。私の人生にとってとても大切な友達がたくさんできました。

6)    進路・目標 5
今の進路とワークキャンプがあまり関係がないかと思ったので、最初は3にしていました。
でもよく考えてみたら、私が韓国語を学ぶことになったのもワークキャンプで知り合った韓国人の友達の影響があったからなんです。そう考えるとワークキャンプも自分の進路に関係しているなと思ったので、4をつけました。

韓国語を学びたいと思ったのは?
2002年のフランスワークキャンプの時に、韓国人メンバーが3人いました。そのうち1人が日本語を話せたんです。そのことがとても嬉しかったんです。その子とすごく仲良くなり、私もその子が話す韓国語でその子と話がしたいと思ったのが、一番最初の韓国語を学びたいと思ったきっかけでした。

それで交換留学を通じて韓国で語学を習得されたんですね。大学卒業後は日本の企業で?
韓国と関わる仕事がしたかったので、日本にある韓国企業に就職しました。ただ韓国語を話す機会も少なく、仕事に対するやりがいが見つけられなくて悩んでいました。社会人2年目に入った時に、このままではいけない、もう韓国へ行くしかないと決心し、お金を貯めて1年後に韓国へ旅立ちました。

その時、学校や仕事が決まっていたわけではなかったんですよね?
はい。とくに仕事のあてはなく、ワーキングホリーデーで韓国に来ました。韓国語は交換留学の時に語学学校を卒業して、生活をするには特に問題はありませんでした。あていとったら、友達が韓国にたくさんいるってことくらいでした。日本の家に荷物を残さず、帰る場所は私にはないんだっという覚悟で来ました(笑)。

そこまで魅了する韓国の魅力は?
人です。韓国人の情というか、温かさ。悪く言えばおせっかいし、良く言えば面倒見がよいところです。日本人よりも、人と人との間にある見えない壁が薄くて、とても近いんです。「友達の友達は私の友達」という言葉通り。例えば二人で約束をして、約束した場所へ行ってみると、友達の友達が一緒に来ていることがよくあります。二人で会う予定が、いつの間にか三人四人になっているんです。初めて会っても気軽に話ができ、意気投合すれば帰る頃にはもうすっかり友達に、なんてことは良くあります。韓国で「ウリ(私たち)」という言葉を良く使うのですが、「私たち」と言うように人と人とのつながりを大切にするので、そこがとてもいいですね。

今は希望をしていた観光業に入ったとのことですが、なぜ観光業を希望したのですか。
もともと旅行が大好きで、ワークキャンプに参加しながら、旅に出ていました。仕事は一日の大半を費やすので、それなら楽しく好きなことをしていきたいなと思ったからです。

現在の具体的なお仕事は?
現在、韓国観光公社(日本にある日本政府観光局(JNTO)のような組織)で働いています。そこの日本語HP(http://japanese.visitkorea.or.kr/jpn/index.kto)、SNS( https://www.facebook.com/visitkorea.jp 、 https://twitter.com/twittkto)の運営を行っています。旅行情報や地域のお祭り情報を紹介する記事の翻訳や作成、その情報をSNSを使って拡散させたりし、韓国のPR活動を行っています。地方に取材に行くこともよくあります。

今後の夢や展望は?
今の仕事を始めて2年目になります。もっともっと韓国の魅力を日本に住んでいる方々に届けたいと思っています。日韓関係が悪化し、韓国に対してよくないイメージを持っている方も多いかもしれませんが、知られていない韓国の魅力がまだまだたくさんあります。世界的にも韓流ブームでドラマやK-POPが流行っていますが、それをきっかけにしてもっと深く韓国のことを知ってほしいと思っています。観光地として有名なソウルや釜山だけでなく、ローカルな地方の魅力も満載です。ビビンバの発祥の地であり、韓屋村があることで有名なスローシティにも指定されている全羅北道全州や世界自然遺産地区がある済州には韓国人の間で人気のオルレと呼ばれるウォーキングコースがあり、済州を一周しながら済州の自然を満喫することができます。韓国独特の地方のお祭りやそこの特産物で作った韓国料理など、私もまだまだ未開拓なこともたくさんあります。今の仕事を通して、私自身ももっと韓国のことを知って韓国での生活を楽しみたいし、日本にいる方々に韓国の魅力を伝える伝道師になれたらいいなぁと思います。

最後にメッセージをお願いします。
社会に出てから、時間をかけて国際ワークキャンプ等の活動に全力で関わることは時間的な制約がある分、難しくなると思います。感受性豊かな時期で、自由に動ける時間があって、金銭的にも支援してもらえるのが、学生だと思います。何でも挑戦できる世代だと思うんです。もちろん楽しい経験ばかりではなく、辛いこともあると思います。でもどんな経験でもどんな出会いであっても、今後生きていくうえで役に立つときが必ずきます。私もワークキャンプでの経験やそこで出会った人達のおかげで、「今の私」があると思っています。不安や心配で足踏みをしているんだったら、ぜひ一歩踏み出してみてください。きっと人生におけるステキな出会いがたくさんあるはずです!

田口知枝さん
2012年9月20日(木)21:00-@スカイプ